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予算1日1000円で暮らす小笠原洋子さん74歳。ケチケチ生活でも「悠々自適」というその訳は?[前編]

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ゆうゆう編集部

「美しいものが好き」で京都の画廊勤務からスタートし、都内の美術館の学芸員や大学の非常勤講師として働いてきた。

「私にはできるだけ自由に生きたいという思いがありました。それで45歳のときフルタイムの仕事を辞めました。その後はフリーランスで美術に関する仕事をしてきました。

家財道具の多くは両親や兄の遺品で大切に使っています。年金生活ということもありますが、気に入っているもの、どうしても捨てられなかったものを、自分の好みに工夫するのが楽しいのです」

クッションは手芸教室を開いていた亡き母の作品。「家財道具は両親や兄の遺品が多いです」

お財布にも地球にも優しい「ケチカロジー」を実践

そんな小笠原さんは、予算1日1000円のケチケチ生活を30年近く続けている。

「幼い頃から物を買うよりお金を貯めることに関心があり、お小遣いをもらうと郵便局に走ってコツコツ貯金をするような子どもでした(笑)」

それは大人になっても変わらず、京都では1日300円しか使わない生活に挑戦したこともあるという。

「どのくらいお金を切り詰められるか? ゲーム感覚でしたが、お米さえも買えませんでした。1日500円生活も試しましたが、やはり暮らしは成り立たず……。40代で1日1000円生活に落ち着きました」

遊び感覚でケチ道を楽しんでいた若い頃と違い、本気で節約をしようと思ったのは老後への不安からだ。40歳から国民年金に加入していたが、公的年金受給額は少ない。少々の貯蓄ではやっていけなくなるだろうという思いがあった。

「無駄を省く、再利用することは、資源を節約する、環境に優しい生活でもあります。そこで節約(ケチ)で環境に優しい(エコロジー)生活を、語呂よくケチカロジーと名づけました。どうやって1日1000円で楽しく暮らすかと工夫し、今日もケチカロジーができたと思うと嬉しくなります(笑)」

母の着物をスカートにリメイク。「自分の若かりし頃の服もリフォームして着ています」

1日1000円生活を実現するために「今日、使うお金」として千円札をお財布に入れて出かける。実は予備としてクリップで留めた千円札もお財布に忍ばせているのだが……。

「倹約ばかりではストレスがたまりますから(笑)。ときには予算オーバーになることも。そんなわけで1日1000円を超える日もあります。ある日の出費が1500円だったら翌日は500円以内に。2000円を使ったら翌日は出費ゼロを目指して家から出ない。1カ月平均して、1日1000円の生活をしています」

現在の年金額は家賃にも満たないので、家賃や光熱費等の固定費は別会計で、貯金から出しているという。

すっきりと片づいたベッドルーム。「ランプシェードは母の手作りです」

※この記事は「ゆうゆう」2022年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/橋本 哲

【後編に続く】

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