イライラ、不安、やる気が起きない、その原因は「食」のせいかも。ココロの不調回復に【食べてうつぬけ】
糖質のとり方を工夫しよう
避けるべきは、砂糖、小麦などの「血糖を急上昇させる」糖質です。白米よりは玄米や分づき米のほうが、血糖の急上昇は抑えられます。玄米はよくかまないと胃腸の負担に。かめない人は分づき米から始めましょう。もち麦や押し麦、オートミールに豊富なβグルカンは、水溶性食物繊維を多く含むため、血糖の急上昇を緩和します。また、腸内細菌が水溶性食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を生成し、血糖を下げるホルモン(GLP–1) の分泌を促進します。
血糖の急上昇を抑える食べ方ルール
食べてOKのものを、しっかりとることが大切です。3つのルールを知って、血糖の乱高下を抑えましょう。
ルール 1 血糖を急上昇させないおやつを食べよう
お菓子や果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水やジュースをやめて、血糖を上げにくいおやつを食べるようにします。
【たんぱく質おやつ】
ココロと体の回復に欠かせない栄養素がたんぱく質。食事だけでとりきれない分を、おやつでしっかりとりたい。よくかんで食べよう。
ゆで卵 、小魚、枝豆焼き鳥(塩)、さば缶などの魚缶(水煮)、豆腐、成分無調整豆乳、豆乳ヨーグルト、プロテイン、プロテインバー(低糖質)、ナチュラルチーズ※
※ カゼイン(乳製品に含まれるたんぱく質)にアレルギーのある人は注意。
【脂質おやつ】
オイルは、低コレステロールを改善し、低血糖を緩和してくれる。ほかにも体にいい作用がいっぱい。あくまで「良質の油」を!
ナッツ(くるみ、アーモンド、マカダミアナッツ、サチャインチナッツなど)、チアシード、ココナッツバター、ココナッツミルク、 MCTオイル(豆乳に入れるのがおすすめ)
ルール2 よ~くかんで食べよう!
・最初のひと口だけでも意識して30回かむと、食事のスピードが抑えられる
・よくかむと唾液や胃酸が分泌されて消化吸収能力が高まる
・食事に時間をかけることで、満腹感が得られて食べ過ぎ防止に
・脳細胞の働きを活発にしてくれる
【たんぱく質は毎食2種類】
たんぱく質といえば、肉・魚・卵・大豆。毎食2種類、1日の中では動物性も植物性※も両方とることが大切です。たんぱく質は、幸せホルモンや消化酵素の材料。たんぱく質が豊富な食材には、ビタミンやミネラルも豊富。ストレス状態で活性酸素がたくさん出ていると、それを打ち消すためにビタミンやミネラルが使われます。メンタル不調のときは、「通常よりも少し多めのたんぱく質、少し多めのビタミン・ミネラル」を心がけましょう。
※腸内環境や腸の炎症の改善には、植物性のたんぱく質も重要。
ルール3 おかずを先に、ごはんを最後に食べよう!
1 肉・魚・卵
最初にたんぱく質のメインディッシュを。肉などに含まれる鉄やビタミンB群を確実にとりたいので、食欲があるうちに先に食べる。
2 野菜
次に野菜を。食物繊維が血糖の急上昇を緩和したり腸を整えたりする。アボカド・海藻・きのこもおすすめ。抗炎症対策にも。
3 ごはん
ごはんは最後に。血液検査で中性脂肪が低い人は、低血糖にならないように、3食お米をきちんと食べる。残ったら2時間後に。
【しっかり食べられるなら野菜が先でOK】
血糖の上昇を抑えたり、有害物の排出を助けたりする野菜は、食物繊維が豊富なので、しっかり食べられる人は先に野菜を食べたほうがより効果的です。食物繊維を最初にとると、肉の摂取に伴う潜在的な炎症リスクの軽減につながります。
栄養精神科医
奥平智之
おくだいら・ともゆき
日本栄養精神医学研究会会長・医療法人山口病院副院長(埼玉県)
栄養の問題に起因するうつ状態を「栄養型うつ」と命名し、「栄養精神医学」の大切さを啓発。血液検査結果の解析などを活用し、個々の体質や病態に合わせ、食事や栄養、漢方を取り入れた診療を実践している。漢方専門医、認知症専門医、特別支援学校 校医、日本うつ病学会評議員、日本スポーツ医学会 理事、日本未病学会 評議員など。著書に『マンガでわかる 食べてうつぬけ 鉄欠乏女子救出ガイド』(主婦の友社)ほか多数。
おくだいら・ともゆき
日本栄養精神医学研究会会長・医療法人山口病院副院長(埼玉県)
栄養の問題に起因するうつ状態を「栄養型うつ」と命名し、「栄養精神医学」の大切さを啓発。血液検査結果の解析などを活用し、個々の体質や病態に合わせ、食事や栄養、漢方を取り入れた診療を実践している。漢方専門医、認知症専門医、特別支援学校 校医、日本うつ病学会評議員、日本スポーツ医学会 理事、日本未病学会 評議員など。著書に『マンガでわかる 食べてうつぬけ 鉄欠乏女子救出ガイド』(主婦の友社)ほか多数。
※この記事は「健康」2024年冬号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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