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「涙の女王」高視聴率の3つの理由とは?ヒョヌ(キム・スヒョン)が去るラベンダー畑の花言葉に胸が震えた15〜16話レビュー【韓国ドラマ】

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marumi

では、なぜ『涙の女王』がこれほどの人気ドラマになったのか?

第1に、一人ひとりの背景がきめ細かく描き込まれて、キャラ立ちしていたために感情移入しやすかったこと。だからこそ中盤に、財閥ヘイン家がヒョヌ家の田舎暮らしに居候したあたりから、多彩な人生を描く人間ドラマとしての面白さが膨らんだ。

特にヒョヌ母(ファン・ヨンヒ)の何事にも動じない人間性の豊かさ、心の広さに、高慢だったヘイン母(ナ・ヨンヒ)が心を許していく姿になごんだ。経営者としてはダメダメなヘイン弟スチョル(クァク・ドンヨン)が、自分を裏切った妻ダヘ(イ・ジュビン)をそれでも一途に愛し抜くピュアさに何度も泣かされた。丁寧に描かれるサブストーリーにも見ごたえがあった。

ヒョヌ母(ファン・ヨンヒ)の何事にも動じない人間性の豊かさ!

第2に、頻繁に時間が巻き戻されるストーリー展開。たとえば、16話でふとヒョヌの部屋に入ったヘインが、天井に星の夜光シールが1つ残っているのを見つける。そこに、流産がきっかけで険悪になり、ヘインの指示で子ども部屋の家具や夜光シールが片づけられ、ヒョヌが愕然とする5話のシーンがはさみ込まれ、ヘインがヒョヌの深い喪失感を初めて察したことがわかる。

過去の伏線回収が不意に、しょっちゅう行われるので、1話たりとも気を抜いて見逃す訳にはいかなくなる。釘づけ状態だ。

第3に、映像の美しさと泣かせるOST。特に、新婚旅行、ヘインの脳腫瘍の診察、そして手術、さらにラストシーンと4つの重要なポイントを撮影したドイツロケ映像のクオリティは、映画をも凌ぐほど。ロケ地巡りをしたくなる。

時間の移ろいを自然の草花の咲く時期や成長、日差しや雲行きなどで表現しているのも、抒情的で素敵だ。どれほど手間暇をかけて撮影しているのか、と尊敬に値する。

映像の美しさも見事だった。

OSTのラインナップも秀逸。中でもCrushの「Love You With All My Heart」が流れると、条件反射で涙が出る。極め付きは、16話ラストでキム・スヒョン自らが歌う「Way Home」。あくまでも清らかな歌声が、エンディング映像に寄り添っている。

そのラストとは。2人が何度か訪れたドイツ・サンスーシ宮殿の階段をヒョヌが一人で上っていく。すると、明るい日差しの中、傍らにヘインが現れ、さらに足取りもまだおぼつかない女の子が加わる。2人は子どもを授かったのだ。

やがて雪に覆われた薄暗い中、年老いた男性が一人、階段を上り終える。長く長く続く階段は、まさに、「人生」の象徴だ。

そして、場面は思い出のラベンダー畑へ。そこには、「先に死んだら、天使になって迎えに行く」と言った日の、若く美しいヘインが待っていた。ヒョヌはヘインに導かれるまま、畑の奥に去っていく。

2人が死ぬまで、人生を「そばにいて」過ごしたことを知る、静かな静かなハッピーエンディング。咲いていたラベンダーの花言葉が「あなたを待っています」だと知って、胸が震えた。

心残りはただ1点。ヒョヌが手術で記憶をなくすヘインのために撮影した、全視聴者号泣の「ビデオレター」(13話エピローグ)をヘインは見たのだろうか? そのことだけが気がかりだ。

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