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担当編集者が語る「芸風とは違う夫婦の素顔」とは?宮川大助・花子さん著書『なにわ介護男子』制作秘話

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ゆうゆう編集部

2024年6月28日に宮川大助・花子さんの著書『なにわ介護男子』が発売されました。これは2018年に体調を崩し、2019年に多発性骨髄腫の診断を受けて一度は寛解するものの、2020年に再発してからの闘病と大助さんによる介護の日々を明るくつづったエッセイです。直接取材した担当編集者しか知らない、出版秘話をつづります。

対面が叶わないコロナ禍での取材

6月28日に宮川大助・花子さんの著書『なにわ介護男子』が発売になった。
実はこの書籍は宮川花子さんから、「本が書きたい」というご連絡をいただいたことがきっかけだった。

宮川大助さん・花子さんの書籍を担当するのは2冊目になる。
1冊目は、関東地方で日曜日14時にフジテレビ系で放送されている「ザ・ノンフィクション」という番組で、ご自身の病気の様子をすべてさらけ出して病気を知ってもらおうとされている姿に感動し、文字の形でもその想いを是非お伝えしたいと考えたのが始まりだった。

書籍のお願いをしたのが2020年の4月。当時は得体のしれないコロナに世界中がパニックになっていた時期だ。

志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなり、初対面の者の面会など叶うはずがなかった。ましてや花子さんは完治することの難しい血液のがんの一種である多発性骨髄腫。ご挨拶に伺い、希望を伝え、対面で構成を相談しながら制作を進めていくという通常の進め方は難しかった。それでも電話やそばにいらっしゃる方々の多大なご協力のもと、2022年1月に完成したのが、前作『あわてず、あせらず、あきらめず』(主婦の友社刊)だった。

緊急入院の連絡。心から復活を祈った日々

前作は2018年3月の体調急変から、余命宣告、2019年1月の多発性骨髄腫、病院での日々、芸人としてセンターマイクに戻りたいという希望を描いたものだ。
寛解したことにより、講演会も行い、体調もよくなっているように見えていた。

ところが2022年秋に再発し、新たな闘いが始まることになる。その年の10月には抗がん剤の影響により、心肺停止寸前で病院に緊急入院。大助さんからは親しい人を通じて「祈ってください」というメールが転送されてきた。どう祈ったらいいだろうと思いながら、病院のある西の方角を見ながら毎朝、手を合わせた。そして退院の知らせを受けたときは、心からうれしかった。

『なにわ介護男子』発売前日に行われた、出版記念記者会見でのおふたり。実は花子さんは10日ほど前まで入院していたが、この日は元気に登場。再発後からの大助さんへの介護に対する感謝を口にした。

第2弾は夫への「感謝」の表現

今回の『なにわ介護男子』は、2023年に花子さんからご連絡をいただき、前作の時にはよくわかっていなかった多発性骨髄腫のことを皆さんに伝えたいというご希望があることがわかった。
多発性骨髄腫が一生つきあっていく病気であること、どんな病気かがわかっていれば防げることがたくさんあること、いい薬によって生きていくことができること。そして病気だけではなくて介護のしんどさ、何よりも大助さんが献身的な在宅介護をしてくれていることに本の形で感謝の気持ちを伝えたいというものだった。

花子さんが当時書いたご自分の気持ちを表した文章(書籍でご紹介)も見せていただき、大助さん・花子さんがずっと闘っていらっしゃることを、病気に限らず、何かと闘っている人にお届けできたらという想いが強くなった。

今度は対面での打ち合わせが進み、再発後の病状、在宅介護、仕事にかける新たな想いに加えて、主治医の南和広域医療企業団吉野病院院長の天野逸人先生によるわかりやすい多発性骨髄腫の解説、訪問看護ステーション「るーく」の看護師・湯川さんのお話を加えることも決まって、制作が進んでいった。

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