【中学・高校受験】突然の進学校への路線変更、職員と生徒のパニックの先にあるものとは?
進学校推進派 VS. 改革否定派
夏休みが明けて早々、放課後の職員会議で事件は起きました。
集まった教員たちに資料を配ると、福井先生がこう切り出したのです。
「今日の会議は、授業の新カリキュラムを発表する場とさせていただきます」
「おい、いきなりなんだ!」
早くも、ひとりの教員が声をあげました。配られた資料にざっと目を通し、怒りに震える教員たちもいます。にわかに色めき立つ職員室。
「新しいカリキュラムの基本は、高校2年間で3年間分の授業時間数を確保するということです。高校3年次は受験対策の期間とします。よって……」
「なんのためにそんなことするんや!」
「勝手に言いやがって!」
次々と上がる怒号。それでも、福井先生は淡々と説明を続けます。
「よって、授業時間確保のため、時間割はこれまでの50分6限から、60分7限授業とし、長期休業日である夏休み、冬休み、春休みもそれぞれ短縮します。この調整で2年間の総トータルの授業時間が、一般の公立高校3年間の時間数とほぼ同じとなります。なお、新しい時間割での授業は若干の調整をした上で数日中にスタートさせることとなります」
「まだ9月やろ? 年度途中でいったい何を言ってるんや!」
椅子を蹴って出ていこうとする教員を、平林先生が押しとどめます。一触即発の空気が充満するなか、たった二人の進学路線推進派による説得は、2時間以上続きました。
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