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「日本人は亡くなる直前が一番お金持ち」もっと楽しく寿命をまっとうするには?【鎌田實さん×荻原博子さん対談】[後編]

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ゆうゆう編集部

健康のために大切にすべき体と心について詳しく伝えてくださる医師の鎌田實さん。健康状態によってどうお金がかかるのかについても詳しい経済ジャーナリストの荻原博子さん。精力的に働く70代のお二人に、健康で幸せな高齢期を過ごすために必要なことを語り合っていただきました。【全3回の3回目】

▼前編はこちら▼ >「70代以降は、少し太っていたほうが長生きする」その理由は?[前編]

Profile
鎌田實さん 

かまた・みのる●医師・作家。1948年東京都生まれ。
30代で諏訪中央病院の院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けに。国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。

Profile
荻原博子さん 

おぎわら・ひろこ●経済ジャーナリスト。1954年長野県生まれ。
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。生活に根ざした視点から経済の仕組みを、わかりやすく解説してくれることでも人気がある。

「介護に必要なお金を取り分けておいて、残りをどうやって楽しく使うか」(荻原さん)

「好奇心をもって、1〜2分の筋肉運動をすれば楽しく長生きできる」(鎌田さん)

鎌田 話は変わりますが、相続人がいないなどの理由で、国庫に入る個人の財産が1年間に約650億円もあると聞きました。これは実にもったいない。生きているうちに寄付するなり、使うなり、よい方法があるんじゃないかと思うんですが……。

荻原 おっしゃるとおりです。日本人って、亡くなる直前が一番お金持ちなんですよ。

鎌田 確かにそうだ!

荻原 「将来が怖いから」って使わないまま死んじゃう人が多いの。でもね、ある程度の年齢になったら、「どう楽しく使うか」を考えなくちゃ。そのほうが絶対に寿命は延びると思います。

鎌田 まったく同感です。

荻原 相続でモメるのは、大金持ちより遺産の総額が1000万円くらいの場合が多いんです。だったら親はお金を残そうとせず、1000万円で子どもや孫と一緒に何度も家族旅行して、使い切ったほうが幸せだと思うんですよ。

鎌田 大賛成です。ぼくはね、「おいしいものを食べる」ことと同じくらい「面白いことをした人が勝ち」とも言っているんです(笑)。お金はあの世に持っていけないから、上手に使い切って死ぬことが大事だと思います。

荻原 年をとるとお金ってそんなに使わないんですよ。だから70~80歳が使える限界。介護に必要なお金が1人平均580万円以上なら、600万円くらい残しておいて、あとは使いましょう。

鎌田 認知症の始まりって「アパシー」なんです。つまり無気力、無関心、無感動。そうならないためには、「絶対にお金を残さないで、面白いことをするぞ!」っていう決意がすごく大事。旅行するとか、おいしいものを食べるとか、戦争で苦しんでいる子どもたちに寄付するとか……お金があればいろんなことができますよ。

▼中編はこちら▼
>> 【鎌田實さん×荻原博子さん対談】60代からの健康はお金とどう関係してくる?[中編]

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