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認知症を遠ざけるのは「貯金ではなく”貯筋”!」専門家に聞くお金と健康のバランス論【鎌田實さん×荻原博子さん対談】[中編]

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ゆうゆう編集部

健康のために大切にすべき体と心について詳しく伝えてくださる医師の鎌田實さん。健康状態によってどうお金がかかるのかについても詳しい経済ジャーナリストの荻原博子さん。精力的に働く70代のお二人に、健康で幸せな高齢期を過ごすために必要なことを語り合っていただきました。【全3回の2回目】

▼【鎌田實さん×荻原博子さん対談】前編はこちら▼ >「70代以降は、少し太っていたほうが長生きする」その理由は?[前編]

Profile
鎌田實さん 

かまた・みのる●医師・作家。1948年東京都生まれ。
30代で諏訪中央病院の院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けに。国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。

Profile
荻原博子さん 

おぎわら・ひろこ●経済ジャーナリスト。1954年長野県生まれ。
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。生活に根ざした視点から経済の仕組みを、わかりやすく解説してくれることでも人気がある。

「在宅介護の平均は5年1カ月。かかる総額は1人580万円」(荻原さん)

「足腰を鍛えて貯金ではなく「貯筋」。90歳超えても認知症になりにくい」(鎌田さん)

がんの早期発見は医療費の節約にもなる

荻原 先ほど鎌田先生が「60代まではメタボに注意」とおっしゃっていましたが、これはお金の面でもとても重要なのです。たとえば厚生労働省の調査では、メタボの人はそうでない人に比べて医療費が余計にかかるんです。60代の女性の場合、10万円以上の差が出るそうです。

鎌田 健康保険が3割負担の世代だと、1人当たり年間3万円以上負担が増える計算になるね。

荻原 しかもメタボを放置したせいで糖尿病になると、さらにお金がかかります。個人的にショックだったのは、体重が増えれば増えるほど糖尿病の合併症を併発しやすくなり、その分医療費も上がるということです。生活習慣病になると長期にわたって薬を飲み続けることになりますしね。

鎌田 あとは、がんの早期発見も大切だよね。早い段階で見つかると治療も短期間ですむから医療費も安いけど、進行して見つかると治療は長期間になってお金もかかる。特に働き盛りの50代は家計への影響も大きいから、がん検診を受けることは大事。

荻原 そこはケチらない!

鎌田 70代以降は要介護にならないこと。これもお金がかかるから。

荻原 そのとおりです。あくまで平均値なのですが、要介護になると1人当たりの介護費用が580万円以上になるというデータがあります。要介護度が上がれば上がるほど負担は増えますし。

鎌田 あるデータでは、認知症になると、亡くなるまで在宅介護では1人当たり平均650万円、施設介護だと1300万円もかかるんだって。

荻原 1300万円なんてそう簡単には貯められませんよね。

鎌田 だからぼくはね、貯金より「貯筋」って言っているの。要介護にならないためにはお金より筋肉を貯めようって。

※1 平成24年厚生労働省保険局調査課「医療費の見通しの推計方法について/メタボリックシンドローム該当者・予備軍と年間平均医療点数の関係」より

※2 BMI=体重(キロ)÷身長(メートル)2

※3 WHO(世界保健機関)は現在、BMI30以上を肥満としているが、日本肥満学会はBMI25以上を肥満としている

※4 2007年京都大学古川雅一ら「肥満に伴う糖尿病や高血圧性疾患の医療費に関する研究」より

※5 生命保険文化センター「2021年度生命保険に関する全国実態調査」より

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