「日本人は亡くなる直前が一番お金持ち」もっと楽しく寿命をまっとうするには?【鎌田實さん×荻原博子さん対談】[後編]
お金があるだけじゃ幸せにはなれない
鎌田 幸せでいるための5つの条件をご存じですか?
荻原 何ですか?
鎌田 健康、いい人間関係、自己決定、収入、学歴の5つです。
荻原 ああ、なるほど。その5つはどれも大切ですね。
鎌田 この5つの中で、日本人は「自己決定」がとても弱い傾向があるそうです。人の顔色をうかがって生きてきた人ほど、大人になっても自立できない。
荻原 私の周囲でも「定年退職してから夫が無気力になった」「夫がやたら私にベタベタしてくる」っていう人いますよ。サラリーマン時代に言われたことだけやってきた人は、そうなりがちなのかもしれませんね。
鎌田 高齢になったら「ソロ立ち」が必要だと、ぼくはよく話すんです。家族がいても一人で生きるということです。たとえば夫婦で京都旅行に行ったとしますよね。旦那さんはお寺巡りに行きたい、奥さんは焼き物を買いたい。だったら別行動して、ランチで落ち合う。そしてまた別行動してホテルで集合。そういう関係を上手につくってほしいですね。
荻原 熟年離婚も避けられそうですね(笑)。最近は若い人も高齢者もストレスが多いじゃないですか。うつになったり、がんになったり。鎌田先生みたいなお考えだと、幸せ度が100倍になりそう。
鎌田 幸せになるには朝、太陽を浴びるのもいいですよ。セロトニンっていう「幸せホルモン」が作られるんです。
荻原 じゃあ犬の散歩は最高ですね。私は50代の頃、うつっぽくなって、夜眠れなくなったんです。犬を飼ったら眠れるようになったのは、そういうことか!
鎌田 あとね、犬や猫を触るとオキシトシンっていうホルモンが出るんですよ。これも「幸せホルモン」の一種で、抗酸化力もあります。荻原さんは犬に健康を守ってもらっているんですね。
荻原 犬に感謝しなくちゃ!
鎌田 いくらお金があっても、それだけでは幸せになれませんよ。
荻原 今、政府は投資を推奨していますよね。新NISAがその代表です。投資は好きでやるならいいけれど、何もわからない状態で銀行の窓口に行き「投資したいんです」っていうのは、カモがネギしょって鍋に飛び込むようなもの。手数料の高い投資信託を買わされるかもしれません。それに、投資するとお金が減る可能性もある。100万円が50万円になって寝込むような人は、絶対にやらないほうがいいですよ。
鎌田 そうそう。あとはできるだけ仕事をすること。長野県はもともと脳卒中の多い県だったんだけど、ぼくが行って50年で平均寿命が日本一になった。それは高齢者の就業率が高いからなんです。農業は何歳でも元気なら仕事を続けられますから。
荻原 「貯筋」もできますし、太陽も浴びますからね。
鎌田 そのとおりです!
Information
鎌田さんの本『鎌田式 おきらくハッピーエンディングノート』
1210円 家の光協会
最期まで面白く自分らしく楽しむことを目的にしている。「死を受け入れるウォーミングアップ」「いまの自分を見つめてみる」「人生の最期に私が望むこと」「私の過去と家族や友人のこと」の4章に分かれている。
荻原さんの本『5キロ痩せたら100万円―「健康」は最高の節約』
990円 PHP新書
老後の不安の9割は医療費と介護費用。「だったら体重を減らして貯金を増やそう!」と提案。医療費や介護費用を節約して人生後半をハッピーに過ごすためのノウハウが満載だ。
※この記事は「ゆうゆう」2024年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
取材・文/神 素子
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