舞踊歴73年のバレリーナ【森下洋子さん】その食事は1日何度? 体と心を健やかに保つ秘訣も
朝と夜、1日2食が長年の習慣です
身長150センチと小柄ながら、舞台の上では圧倒的な存在感を放つ。しなやかな動き、繊細な表現、あふれ出る美しさ……そのすべてを支えているのが日々の稽古だ。
「今も毎日、バレエの稽古をしています。公演のために稽古するのではなく、毎日毎日の積み重ねの途中に舞台があるという感じです。音楽を聴き、体が音を感じ、少しずつ少しずつ筋肉に覚えさせて。肉体と心のすべてでその作品を感じられるようになるまでにはものすごく時間がかかるので、とにかく毎日の稽古が大切で、いちばん必要なことです」
朝起きて、朝食をとったらすぐに稽古場へ。
「基本練習をしたあとは、着替えてリハーサルに入ります。途中でチョコレートを一口つまんだりすることもありますが、昼食は食べず、夕方に稽古が終わってから夕食をいただきます。人それぞれだと思いますが、私は踊っているとき、おなかがいっぱいだと筋肉が起きないんです。だから1日2食。もう何十年も、こうした食生活を続けています」
睡眠はきちんと、できれば6時間くらいはとるように。
「なるべくならばその日のうちに、24時前には寝るようにしています」
70年以上に及ぶバレエ人生の中で、舞台に穴をあけたことは一度もない。
「ある意味でラッキーなのかもしれませんが、何か大変なことが起きても公演の当日じゃないんです。だから公演は必ずセーフ。それに、自分自身でも『大変なことがあるから舞台で踊れない』なんて全く考えられません。みんなで一緒につくって皆さんに観ていただきましょう、喜んでいただきましょう……そういう気持ちで一つの舞台をつくっていますから。だから舞台前はとにかくケガをしないように気をつけます。雨が降っていたら気をつけて歩こう、階段に注意しようなど、ごくごく単純なことですけれど」
舞台が終わった翌日は必ず休みをとる。それは、あくる日からまた踊り続けるため。
「やっぱり筋肉を激しく使いますから、その疲れを取らなくちゃいけない。1日くらいは体を少し静かにさせて、また踊っていくためです」
【後編に続く】
撮影/小川知子、宮崎貢司 取材・文/本木頼子
※この記事は「ゆうゆう」2024年12月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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