姿勢が悪いと、のどの粘膜に悪影響が!?【鼻とのどの粘膜】が整う生活習慣を耳鼻咽喉科医が伝授[花粉症対策]
座る姿勢が悪いと、のどの粘膜にも悪影響!
現代社会は座る時間が多くなっているので、気がつかないうちに姿勢が悪くなっている傾向にあります。これは、日本人の体の特性が影響しています。
とくに日本人は、欧米人に比べて背中やお尻の力が弱く、座ったときに背中が丸くなってしまいがちです。欧米人は日常的に椅子に座り、日本人はあぐらや正座で座るのが習慣になっていたからです。
背中やお尻の力が強い欧米人が押す動作が得意なのに対して、日本人は引く動作が得意です。スポーツでも、ヨーロッパ発祥のフェンシングは突く動作が主ですが、日本の剣道では竹刀を引いて使うことなどに表れています。
座る姿勢が悪いと、のどの粘膜にも悪影響があります。
姿勢が悪くなり前かがみになると、おなかに圧力がかかります。すると、胃液が食道やのどに逆流しやすくなってしまいます。
酸の逆流を防ぐために、まず座り方を変えてみましょう。
座る姿勢をよくするために、しっかり椅子の座面に坐骨をつけましょう。背中やお尻に力を入れて坐骨を座面につけると、骨盤が直立してきれいな姿勢になります。
腹圧がかからないように、脛で体重を支えるタイプの椅子もあるので、座る時間が長い人は試してみる価値があります。
「咽喉頭酸逆流症」を防ぐ生活習慣として、座る時間を減らしたり、満腹になるまで飲食したりしないのもよい方法です。
座っているときだけではなく、ふだんの姿勢にも気をつけましょう。
猫背になると胸を大きく開きにくくなり、おなか圧迫されるので深い呼吸が難しくなります。この状態ではいい声が出なくなるので、無理して大きな声を出そうとします。すると声帯を無意識のうちに強く閉じ、より声帯を震わせようとしてしまうため、粘膜を傷つけてしまいがちなのです。
高齢で猫背になると、空気を吐き出す力が弱いため、気管に異物が流れ込んでもうまく外に出せなくなります。そうなると、「誤嚥性肺炎」にかかりやすくなります。
姿勢をきれいにするためには、ふだんの生活で背筋を伸ばすことを意識してください。立っているとき、歩いているとき、どんなときも体に軸をつくるようにしましょう。
また、体の筋肉をバランスよく鍛えることも大切です。きれいな姿勢になるには、体を支える体幹の筋肉をつけることが必要です。