「NISAで老後資金を貯めたい!」——自分なりに納得できるものを選ぶコツを、井戸美枝さんがアドバイス
「アクティブ型」は、ファンドマネジャーの腕次第
インデックス型が特定の指数に連動することを目指す設計ですが、特定の指数を上回る運用成績を目指す投資信託が、「アクティブ型」です。
具体的には、運用のプロ(ファンドマネジャー)の判断のもと市場の状況や企業を分析して、株式や債券などの有価証券を売買し、比率を調整しながら運用されます。
ファンドマネジャーは、これから成長が見込める銘柄、本来の価値に対して割安と思える銘柄などを選び、予想がうまくいけば高いリターンが期待できます。逆に、予想がうまくいかないと元本割れします。パフォーマンスが良いかどうかは、ファンドマネジャーの考えやファンドの特徴によって異なります。
アクティブ型の例
農林中金〈パートナーズ〉おおぶねJAPAN(日本選抜)
国内の上場企業約4000社のなかから、「高い産業付加価値」と「圧倒的な競争優位性」の2つの軸により、持続的に利益を生み出すと考えられる約60社を選抜して投資。
販売手数料 上限1.65%
信託報酬 0.88%
売却時手数料 0
なかの日本成長ファンド
「高い成長性×長期視点で未来を創る」
利益の成長率と持続性を兼ね備えた国内優良企業約30社を厳選。高度なリサーチに裏打ちされた銘柄選択と投資先企業への骨太なエンゲージメントを実践し、資産の成長を目指す長期投資家向けのアクティブファンド。
販売手数料 ありません。
信託報酬 年率1.1%(税抜 1.0%)
売却時手数料 0
アクティブ型のメリット・デメリット
メリットは、運用次第で高リターンを期待できる点です。
投資信託ごとに投資先や考え方などが多種多様なので、自分が応援したかったり期待する国や企業、分野などへの投資ができるのも魅力。市場の動きに連動していないので、市場が下落しても必ずしも下落しないこともあります。
デメリットは、運用次第で元本割れするリスクが高いことです。市場が上昇しても、その銘柄だけ上がらないことも。初心者には複雑すぎてわかりづらい商品もあります。
また、市場の情報収集や分析コスト、状況にあわせた銘柄の入れ替え手数料などもかかるため、インデックス型にくらべて運用コストが高くなります。
アクティブ型の選び方
インデックス型を選ぶにしても、アクティブ型を選ぶにしても、投資をするときは内容をしっかり理解することが不可欠です。特にアクティブ型には複雑な内容のものも多いので、「よくわからない」という場合は投資しないこと。
どんな運用方針で投資先を選んでいるか、投資先の市場や企業群に今後伸びる可能性があるか、運用実績はどうかなど、「目論見書」(投資対象や運用方針などを記載された文書)で確認して、自分が共感できたり興味があって、応援したいと思えるものを選びましょう。
また、ファンドマネジャーがきちんと顔を出して運営方針を説明したり、運用報告書を出しているかどうかも大事なチェックポイントです。
たとえば、運用会社の一つ「なかのアセットマネジメント」の場合、全銘柄について選んだ理由などを運用レポートにまとめています。毎月発行しているので、初心者の人には、勉強の意味でもそういったレポートを続けて読んでみるのがおすすめです。
ほかにも、運用会社の説明会に出たり、奥野一成さんなど昔から有名なファンドマネジャーの話などもネットに出ていますから、目を通してみましょう。投資信託選びのヒントになります。
新規に設定されたファンドの将来は未知数です。ある程度長く運用され続けたファンドを見てもいいでしょう。
ワンポイント! 成長投資枠でもつみたてはできる
投資してみたいアクティブ型の投資信託が見つかっても、NISAの「つみたて投資枠」にない銘柄もあります。その場合は、「成長投資枠」にあれば、つみたてることが可能。 つみたて枠にくらべて、成長投資枠の方が圧倒的に幅広い商品を取り扱っているので、チェックしてみましょう。
投資初心者はまず、インデックスファンドから。
無理のない範囲で少額からチャレンジしてみましょう!
井戸美枝さんプロフィール
いど・みえ●ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『フリーランス大全』(エクスナレッジ)。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
X(旧Twitter):@mieido
※投資では、元本割れする可能性があるので、運用は十分に気をつけて行いましょう。この記事は特定の金融商品や運用方法の推奨、投資アドバイスなどを目的としたものではありません。ご自身の判断で行ってください。
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