「メンタル的にしんどくなりたくない人は、どうしたらいい?」精神科医・藤野智哉さんのアドバイス
怒り・悲しみ・恐れ……自分の中に生まれた“負の感情”に、みなさんはどう対処していますか? SNSフォロワー数12万人の精神科医 藤野智哉さんが、ゆるっとした気持ちで負の感情とつき合える方法を紹介します。新刊『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』から抜粋してお届けする第3回は、機嫌と不機嫌のメリット・デメリットについて。
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「しんどくて機嫌よく振る舞う余裕がないときは、どうしたら?」精神科医・藤野智哉さんが教える対処策やれる範囲で機嫌よくやってもいいんじゃないかなと
いつも機嫌よくいなきゃいけないなんてことはないけれど、
機嫌よくしていれば得られるメリットがあり、
不機嫌だと損しちゃうこともあります
必ずしも機嫌よくしていなくてもよくない?と僕は思っていますが、不適切な感情表出によってトラブルが起こりやすくなるのも事実。機嫌よくいれば、キレてトラブルになったり、泣きわめいて後悔したりすることが減るので、自分のメンタル的にもしんどくなりづらいという面はあるでしょう。
それに基本的には、みんな機嫌のいい人のことが好きですよね。だから機嫌のいい人は、人に好かれやすくなったりするでしょう。みんなに好かれるのがはたしていいことかという話もありますが、好かれて悪い気がする人は多くないと思うので、やれる範囲で機嫌よくやってもいいんじゃないかなと思います。
ポジティブ心理学には、心理学者のバーバラ・フレドリクソンが提唱した「拡張形成理論」というものがあります。
ポジティブな感情がいろんなことへの興味を生み、それによって行動や思考の幅が広がり、スキルが増えて人として成長し、人生が豊かになっていくという考え方です。機嫌がいいとうことにも、そういった側面があるのではないでしょうか。
僕自身に関していえば、職場ではなるべく機嫌よくいようと心がけています。
それには理由があって、僕が研修医で循環器内科を回っていたとき、田中先生というドクターがいつも病院のピッチ(医療用携帯電話のPHS)に「はーい田中です」って、めちゃくちゃ穏やかに出ていたんです。
循環器内科なんてとても忙しい科なので、せわしく出てもおかしくないのに、田中先生は夜中などにコールをしても優しく出てくれる。僕はそれから田中先生のまねをして、ピッチに穏やかに出るようになりました。