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【堤真一さん&山田裕貴さん】終戦を知らず、木の上で2年間生き抜いた兵士役を熱演。映画『木の上の軍隊』に込めた思いとは?

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志賀佳織

どんなに言っても減量をやめない。頑固だなぁ、こいつって思って(笑)

山田さんは飢餓に瀕している状態の役作りをするために、1カ月間、干し芋と納豆と豆腐だけを食べて減量したという。撮影も終盤の頃。

「もういいよ、食いに行こうよって言うのに、カツオの刺し身しか食べない。酒もあまり飲まないし、頑固だなぁこいつ、と思って(笑)」

「そう思われていると思っていました(笑)。でもあるとき、今日はもういいだろうということで、豚の角煮を一口食べた。もうかじった瞬間に『うわっ!』って衝撃を受けて、『ああ、あの飢餓状態で食べ物を見つけたときの安慶名の気持ちは、これじゃん!』と。一口一口噛み締めながら理解していきましたね」

たまには台本を開くのがつらいときも

作品を観ていると、俳優という仕事は魂を削りながら役を生きる、凄まじいエネルギーを要するものなのだということが、2人を通してひしひしと伝わってくる。一作一作こうしたキャリアを重ねて、これからどこへ向かっていくのだろうか。

「こういう作品をやりたいとか、そういう目標みたいなものは昔から全くないんです。ただ、もう少し仕事と仕事の合間に、何も考えなくていい時間が欲しい(笑)。次の作品の台本を開くまでにすごく勇気がいる状態を緩めて、インプットもしていけるペースにできたらいいですね」

「何十年もキャリアのある堤さんが台本を前に、開くのがイヤになるときもあると伺って、僕なんかが『わかる』と言っては駄目なんですけど(笑)、ありがたいことに本当に今はそれぐらい次から次へと作品をやらせていただけているので、感謝だけは忘れずにいきたいですね。たまには台本を開くのが億劫になる日があってもいいから、本番の『よーい、ハイ!』の声がかかったら一所懸命やることだけを胸に頑張ろうと思っています」

【INFORMATION】映画『木の上の軍隊』

太平洋戦争末期の沖縄県伊江島で、2人の日本兵がガジュマルの樹上に身を潜め、敗戦を知らぬまま2年間生き延びた。そんな実話に着想を得た故井上ひさし氏が遺したメモ。その原案を基に舞台化された作品が映像化された。米軍の侵攻により激化する戦闘の中、沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は追い詰められ、宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤真一)と合流、ガジュマルの木の上に身を潜めるが……。

脚本・監督/平 一紘
原作/「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし)
出演/堤 真一 山田裕貴 津波竜斗 玉代勢圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール) 山西 惇
沖縄先行公開中、7月25日(金)より全国公開

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撮影/中村彰男 
スタイリング/中川原寛(CaNN・堤さん分)、森田晃嘉(山田さん分) 
ヘア&メイク/奥山信次(b.sun・堤さん分)、小林純子(山田さん分)

※この記事は「ゆうゆう」2025年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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