「あんぱん」これまで別々の道を歩き続けた嵩とのぶの道がようやく交わる【朝ドラ】
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田幸和歌子
結局、広告費の件は質屋の旦那が「本当に忘れちょりました。うちのもんが本当に御無礼を」ということであっさり解決したが、
「僕の漫画、かばってくれてうれしかった」
と言う嵩に対し、
「嵩も勇ましかったで」
少し照れながら言うのぶ。
ここで見せた嵩の男らしさもまた、少しずつ嵩とのぶの距離が再び縮まり、これまでとは違うかたちになるレールを着々と歩んでいきそうなところにも明るい気持ちになれる。
東京取材で二人の距離がどう変化していくのか、メイコ(原菜乃華)の健太郎(髙橋文哉)への思いも含め、恋愛要素の展開も楽しみなところだ。
主人公アンパンマンの声をつとめる人物、いよいよ真打登場!
さて、言うまでもなくこのドラマは、『アンパンマン』の原作者・やなせたかし、そしてその妻・小松暢をヒロインとして、描かれた作品である。史実をアレンジし、ときどき『アンパンマン』の世界観に通ずるセリフや、登場キャラクターを下敷きにしたような登場人物たち、そしてアニメ『それいけ!アンパンマン』の声優陣がゲスト出演するなど、アンパンマンワールドとリンクさせる遊び心のような演出で生まれる楽しさも見どころのひとつだ。
今週登場した「ガード下の女王・薪鉄子」という、戦災孤児、女性などの弱者を、有楽町のガード下に現れては援助するという存在。その鉄子を演じるのは戸田恵子。そう、アニメ『それいけ!アンパンマン』で主人公アンパンマンの声をつとめる人物、いよいよ真打登場! といった雰囲気もただよう。
取材先の東京で食べたおでんにあたり苦しむ嵩たちを自宅まで連れてきて介抱してくれた割烹着姿の女性、彼女こそが薪鉄子そのひとだった。
「男は戦争に負けてくたびれてるからねぇ。これからは女がしっかりしないと。戦争を始めたのも男だよ」
そういう彼女がガード下の女王であることは、のぶたちは気づいていなかったが、嵩とのぶの、「アンパンマン」との出会い。これがふたりにとってこの先どう影響していくのか。鉄子がまさに「アンパンマン」を思わせるようなセリフを、その声で発してくれるようなファンサービスは? 次週予告には懐かしい面々も再登場していて、ますます目の離せない展開が待っていそうだ。
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