大半の人が勘違いている【睡眠の新常識】「15分以上寝つけないときは、布団から出たほうがよく眠れる!?」
雑誌「ゆうゆう」読者の調査では、約7割の人は「眠りが浅い」「夜中に何度か目が覚める」といった悩みがあるという結果に。そこで、覚醒をつかさどる「オレキシン」を発見した睡眠ドクター・櫻井武さんから、睡眠に関する驚きの新常識を学びます。
▼睡眠の新常識③④はこちらの記事▼
>>寝つきの悪さは「体内時計のズレ」が原因かも!? 体内時計を整える3つの習慣とは?
教えていただいたのは
櫻井 武さん
さくらい・たけし●医学博士。
筑波大学医学医療系教授、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授・副機構長、日本睡眠学会評議員。
筑波大学大学院在学中に、血管収縮因子・エンドセリンの受容体を単離。
テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターにて、柳沢正史さんとともに、睡眠障害・ナルコレプシーの原因となるオレキシンを発見した。
睡眠の新常識⑤ 「年をとって眠れなくなったのは眠る体力がなくなったから」は間違い!
睡眠時間の減少は加齢に比例するもの
「眠ること自体に体力は必要ありません。必要睡眠量は、起きているときの知的活動や運動量で決まります。子どもは脳の発達のための時間も必要です。若い頃と年をとってからでは、起きているときの活動量が全然違いますよね。活動量が減ると、深く眠る必要も長く眠る必要もなくなるので、睡眠時間が短くなるのは普通のことです。
年をとると深い眠りが減る、中途覚醒の時間が増えるといった変化もあり、睡眠経過の形が雑然となってきます(下図)。すぐに起きる、朝早く目覚める、長時間眠れないといった問題が起こりやすくなりますが、それらの症状は、若い頃のように走れないのと同じ。加齢によるもので仕方がないことです。若い頃のように眠れないからといって、不眠症ではありません。
アインシュタインは晩年まで10時間睡眠だったという話もあります。年をとっても知的活動が多ければよく眠れるということでしょう。眠れなくなったと感じるなら、まずは昼間の知的活動や運動量を増やしましょう。それがよい睡眠を生み、さらに翌日の活動量の増加へと好循環を生み出せますよ」
