眠れない夜に終止符!睡眠薬に頼らない新常識と【快眠のための9か条】
雑誌「ゆうゆう」読者の調査では、約7割の人は「眠りが浅い」「夜中に何度か目が覚める」といった悩みがあるという結果に。そこで、覚醒をつかさどる「オレキシン」を発見した睡眠ドクター・櫻井武さんから、睡眠に関する驚きの新常識を学びます。今回は新常識の8番目と、快眠のための生活9か条を伝授!
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教えていただいたのは
櫻井 武さん
さくらい・たけし●医学博士。
筑波大学医学医療系教授、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授・副機構長、日本睡眠学会評議員。
筑波大学大学院在学中に、血管収縮因子・エンドセリンの受容体を単離。
テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターにて、柳沢正史さんとともに、睡眠障害・ナルコレプシーの原因となるオレキシンを発見した。
睡眠の新常識⑧ 睡眠薬は、風邪薬のように安易に飲んではいけない
眠れない=不眠症、とは診断できない。まずは、「睡眠衛生」を整えよう
「睡眠は感情に大きく作用されます。ストレスがあって眠れないのは当たり前のことで不眠症ではありません。眠れないという問題が起きたときに、まず最初にやるべきは、「睡眠衛生」を整えること。ストレスを解消し、睡眠を妨げることをやらない、眠れる条件を整えていくといったことです。
睡眠薬の服用は、最後に行うべき方法ですが、日本では内科でも処方が可能なため、高血圧や糖尿病の薬と同じ感覚で睡眠導入剤が処方され、その乱用が問題となっています。長く日本で使われてきたベンゾ系睡眠薬は脳に効く薬です。脳の機能を変えてしまう作用があり、薬がないと眠れなくなる依存性があります。本来であれば、不眠症と診断された後、薬の必要性を検討してから処方され、眠れるようになったらやめないといけない薬なのです。
ベンゾ系に代わって主流になってきた睡眠薬は、起き続けているための物質『オレキシン』(下図)に働く、オレキシン受容体拮抗薬です。ベンゾ系のようなリスクは低いということになっていますが、やはり薬に頼らないのがいちばんです。決して、風邪薬と同じ感覚で簡単に使っていいものではありません」
