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「娘には気を遣わなくていい」は、一周回って“ありがとう”の言葉??【認知症母との介護生活#69】

公開日

更新日

ぱいなっぷりん

60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。

▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼

>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】

認知症母からついに言われたこと

認知症母から
ついに 言われてしまった

あなた 誰だっけ?

それは
私が 毎晩続けている
母の 歯の仕上げ磨きを
やり終わった時だった

母の 歯は

そのテキトーな性格と

生来 丈夫だった 歯質に甘え
口腔衛生に対する 認識を
アップデートしなかったことで

近年になって
悲惨な状態になってきていた

ある日
母が通う 歯医者の先生から

これじゃ いくら治療しても
追いつかない

と
さじを投げられかけたことが
あって

以来
先生のアドバイスの もと

私が
母の歯の 仕上げ磨きをするのが
毎晩のルーティンになったのだった

♪シュワシュワ クチュクチュ♪

と 歯磨きの歌を歌いながら
抜けて 数少なくなった
母の歯を 磨く

終わると いつも母は

ありがとうね

こういうことは
ひとからやってもらうと
ホント 気持ちいいわ

と
嬉しそうに 笑ってくれるので

その時間は
私にとって
ちょっと めんどくさい時間では
あるんだけど

楽しい時間でも あった

ん ・ だ ・ け ・ ど

その日は

いつもの言葉の 後に
母の もう一言が あった

ところで
あなたは 誰?

ところで
あなたは 誰?

ところで
あなたは 誰?

いつか 母から
このセリフが吐かれることは
予想していた

その時 私は
いったい どんな反応をするんだろう
と
いろいろ 想像もしていた

ショックを受けて 取り乱すか

淡々と 受け止めるか

思わず 否定するか

スルーするか

実際の 私は
その言葉を言われた時

頭の中に 走馬灯のように
子どもの頃の
母との懐かしい思い出が
浮かんでは 消えた

そして
頭の中の 若かった母と
眼の前の 年取った母とを
比べて

一瞬
眼前の老婆は
母ではないような 気がした

いやいや
今 思い出している
若い母のほうが 妄想なのか

そんなふうにも 思った

まあ
でも
そんな 混乱も

次に 母の発した言葉で
即 ぶっ飛んだ

な~んだ 娘なのかあ

娘だったら
気を遣わなくてよかったのに

あ~あ
今までソンしちゃった

ちなみに
上記の言葉は↑ 一字一句違わず
母が言った そのままです

私は
すぐに その言葉に 噛みついた

なんで 娘には
気を遣わなくていいのよ!?

だって
そこには 娘に対する感謝なんて
微塵も感じられなかった

…な~んてことを 書くと

ひとに 感謝を期待するほうが
おかしいのでは?

とかって
思われるかもしれないけど

でも

「あなたに気は遣わない」
と 言い切るひとのために
自分の けっこうな時間を
割く毎日は

さすがに キツイ


すると母は

だってえ

と ちょっとクネクネしながら
言った

自分の娘だからよ
お嫁さんだったら
そうはいかないだろうけど

じゃ つまり 娘だったら
何を言っても やってもいい
ってこと?

私が 被せるように
再度 聞くと
母は

そうよ~

そう言って
今度は 楽しそうに
私の背中を ぽんぽんと叩く

気を遣わない関係が
いいのよ

つまり 娘が 一番ってこと

叩かれながら 私は

は~?
全然 よくないし!

心の中で 毒づく

でも

日々 記憶が失われ

自分が壊れていくような 不安の中

それでも 母が 気を遣わず
自然体でいられるのが
娘だ と

娘のことが わからなくなるほど
ボケた頭でも
そう 思うのだとしたら

それは

やっぱり

娘にとって
よろこばしい言葉なのかも

母の あの 受け入れ難い言葉は

一周回って

私に ありがとうを伝える
母の
精一杯の言葉だったんだ
と

そう 思うことにする

▼次回はこちら▼

>>蟻に「ありがとう」?汚れ物から見つけた認知症母の病気の兆し?【認知症母との介護生活#70】

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