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介護認定調査の意外な結果!認知症母と歩む要介護3の新たな道【認知症母との介護生活#68】

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更新日

ぱいなっぷりん

60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。

▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼

>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】

4年ぶりの要介護認定調査で

母が 要介護2に認定されたのは
4年前

先日

それ以来
コロナ禍で
ずっと 先延ばしされていた
介護認定調査員との面談が
ようやく 行われた

その間
母の病気は 確実に進行し

同じ 要介護2であっても
4年前と比べると
自立度は 格段に下がっていた

ただ

介護保険を巡る
財政状況の厳しさなども あって

認定が
以前より 厳しくなっている

との噂も 聞いていたので

今回
どのように 評価されるのか

私としては ドキドキだった

もし 介護度が上がって
介護ポイントが 増えたら

利用したいと思う サービスは
いくつか ある

ただ
母は
トイレは まだ自力で行けるし
暴力や暴言も 多い方ではない

記憶力は
3歩進めば デリートされる
ニワトリ並みであるけれど

それでも
要介護2に 留まる可能性は
あるかもね

と予想していた

の ・ だ ・ が

その面談の 前日

我が家を訪問した ケアマネさんは
母に 言った

Sさん
面談の時
頑張りすぎないでくださいね

もし 頑張っちゃったら
もしかしたら 介護認定が
2から1に 下がっちゃうかも
しれませんからね

えっ
要介護1になることも あるんですか

想像もしていなかった言葉に
思わず
横から口を挟む 私

そんなに厳しいのか
介護保険財政

介護度が下がったら
使える介護ポイントも
減ってしまう

それは困る 絶対

だって
車椅子をレンタルして
週5日 デイホームに通っている

使えるポイントは ギリギリで

ポイントが高い
ショートステイを利用する月には
デイホームの回数を 減らすために
わざわざ お墓参りや
親戚訪問の予定を入れたりして
ポイント調整することだって

私たちの話を聞いていた 母が

要介護1と 2と
どっちのほうがいいの?

と聞いてきた

2だと
デイホームに
今まで通り 通えるけど

もし Sさんがお元気そうに見えて
1と判断されたら
デイホームに通える回数が
減ってしまうんですよ

ケアマネさんから そう説明され
母は

あらあ
それは 困るわ

と困惑しながらも
ちょっと いたずらっぽく

じゃあ

私 何もできないんです~
娘に頼ってるんです~

って言って
認知症のフリをすれば
いいのね

な~んて言っちゃって

認知症の 自覚がないところが
実に 認知症

そして
面談 当日

その直前まで
私は 母に
頑張りすぎないように 言い含め

母も

わかった

と答えていた

…のに

マンガにも 描いたように
面談が始まった 途端
母は
真逆の態度をとってきた

さすが 認知症患者としての
期待を裏切らない 忘却ぶり

あれも やっている

これも できる

と 次々 大風呂敷を広げていく


それに応えて 調査員も

え~ すご~い

うわあ お元気なんですねえ

と感心したように 相槌を打つ

打ちながらも
その手は 冷静に動いて
何やら 書類に
文字を書き込んでいる

それが
私を 不安にさせる

母に分からないように
調査員に
エアーで 一生懸命
母の言葉を 否定するも

嫌な予感しか しなかった

いくら プロの調査員とはいえ

母の日常を知らない人が
この 立て板に水のごとく
ペラペラと喋りまくる
母を見て
一体 何を どう
評価するというのか

そのうち
母の語る
大風呂敷ストーリーには
妄想の 尾ひれが付き
背びれが付き

いつの間にか
壮大なファンタジーと 化していた

そこでは
現実にはありえないことが
語られていた

例えば

ご近所の親友 Aさんと
お喋りするために
私 毎朝
ラジオ体操に行ってるのよ
(↑妄想)
と話した 直後に

Aさんが 亡くなって
寂しいの
(↑現実)
と 涙ぐむ

といった具合

そして 調査員に

日常生活の困り事は ありますか

と聞かれた時

母は

困りごと?
特に ないわねえ

きっぱりと そう答えた

娘が 心配して
色々 言ってるみたいだけど

オーバーなのよ
私は 一人で暮らししたって
な~んも困らないんだから

そうして
身を乗り出して
調査員に 耳打ちするように

娘もね
私を介護してる という名目で
ここに 一緒に住んでいると
いろいろ 助かるんですよ

だって ここにいれば
家賃も 生活費も かからないでしょ

そう 言ったあと

まあ でも
私も 娘といると
便利なこともあるから
いいんだけど

と 付け加えて
イタズラっぽく
今度は 私の顔を覗き込み

ね?

と 同意を促した

その時の 私の顔は

平静を装ってはいても
内心 穏やかでないだろうことは
調査員にも 伝わっていたと思う

母の

ひとりで 暮らせる

という 非現実的な認識は

病気が そう思わせているんだから
まだ いい

私が
本当にイヤなのは

母の考えの 根底に

娘は 嫁に行った身なんだから
本来
この家にいるべきでは ない

そんな 昔ながらの
家制度の感覚があって

でも
母が 本当は頼るつもりだった
息子家族からは
ものの見事に 無視され続け

母の一人暮らしを 見かねて
同居を続け 今日に至る
私の思いなど
意識の外

その挙げ句

本来 娘は
この家に 住むべきではないけど

私の世話をするなら
住まわせてあげる

といった
男尊女卑的考えに 至っていることだ

認定調査が終わり
調査員が 玄関の外に出たのを
追って
私は 彼女に声をかけた

母は 饒舌だし
しっかりしているように
見えるかもしれないけれど

と前置きして

最近
足腰が 大分弱っていて
階段を 四つん這いで上ること

妄想が激しくなって
夜中には
幻覚も 出始めていること

先日は
大事には至ならなかったけど
徘徊があったこと

などを 伝えた

調査員は 頷きながら
私の話を聞いていた

その後

ひとつ
お伺いしたいのですが

と言って
彼女は
意外な言葉を 口にした

もし 要介護3に上がると
使えるポイントは 増えますが
少し 施設の利用料が
上がってきます

ご家族としては
どちらがいいですか

そして

もちろん これから
かかりつけ医などと図って
決めるので
どうなるかは わかりませんが

という言葉を 付け加えた

私の答えは 一択だった

もちろん
要介護3になれば
ありがたいです!

帰り際
調査員は 自転車に乗りながら

娘さんも
親とはいえ
毎日 たいへんですよね

と 言ってくれた

ありがとうございます

私は
小さく 頭を下げた

遠ざかる 自転車を
見送りながら

ずっと年下の調査員の 気遣いに
涙が出そうだった

それは
介護認定調査の 手引にある
対応マニュアルの
ひとつかもしれないけれど

わかってくれるひとが いた

そう 思えただけで
うれしかった

その後

届いた
要介護認定結果通知書には
晴れて
要介護3 の文字が
印字されていた

これからは
辛くなった時に
心置きなく
ショートステイを 使える

デイホームの回数も 増やせる

使いたい介護用品も 頼める

有り難い

というわけで

私の介護生活は
心機一転

新たなステージに
突入したのだった

▼次回はこちら▼

>>「娘には気を遣わなくていい」は、一周回って“ありがとう”の言葉??【認知症母との介護生活#69】

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