【73歳・ひとり暮らし】「赤字家計だけど施設入居も大丈夫?」ファイナンシャルプランナーが診断!
【アドバイス】資金プランは万全! 娘さんにも話しておけば、いざというときお互いに安心です
文子さんの家計は月1万6000円ほどの赤字だが、「年金生活で赤字になるのは当たり前。むしろ11万円の年金でこの赤字額に抑えているのは、素晴らしいです。特別支出を合わせて赤字は年約60万円なので、今の貯蓄でこれからも問題なく暮らせます」と、畠中さんは太鼓判!
健康第一に85歳までひとり暮らしを続け、その後高齢者施設に移る予定。「年金に7万円を補てんし、月18万円ぐらいの施設を考えています」という文子さん。畠中さんは、「愛知県の介護付有料老人ホームは、名古屋など都市部は高額ですが、郊外や岐阜方面なら文子さんの予算内で十分見つかります。住宅型有料老人ホームにも、介護付有料老人ホームと同様に24時間体制で介護が受けられる施設があるので、あわせて探すといいですね」と、アドバイス。
「娘さんに心配をかけたくなくてお金の話はしていないそうですが、施設に入るときは保証人を頼む必要があります。今から自分の考えや老後計画を話しておくと互いに安心です」
生涯安心して生活できる家計のコツを伝授!
年金家計の赤字は月1万~2万円以内なら許容範囲
収入が減る年金生活では、赤字になるのが一般的。
「貯蓄額にもよりますが、赤字が1万~2万円以内なら許容範囲です。文子さんの家計くらいの赤字はまったく問題ありません」。
さらに、畠中さんが感心するのは、文子さんが年間の赤字を60万円と割り出し、85歳で施設に入るまでの12年間に貯蓄から補てんする額を720万円と具体的に想定していること。「施設入居時の貯蓄残高は2280万円(3000万円-720万円)とわかっているので、無理のない入居金や月額利用料を考えられます。読者の方にもぜひ見習ってほしいです!」
【ポイント】
特別支出を含む年間の赤字額を把握し、老後資金の使い方を考えてみましょう
補足給付が受けられない特養より、介護付きや住宅型のホームを検討して
安いというイメージのある特別養護老人ホーム(特養)は、文子さんのように貯蓄が650万円以上(単身の場合)あると補足給付が受けられず、月額利用料は14万~15万円と有料老人ホームとあまり変わらない。
「介護付有料老人ホームなら、厚生労働省の指定を受けた『特定施設入居者生活介護』として、24時間体制で介護が受けられます。この指定を受けていない住宅型有料老人ホームの中にも24時間体制の介護を受けられる施設があるので、見学して納得できる施設を選びましょう」
【ポイント】
貯蓄額によって、特養の補足給付は受けられません
「子に心配をかけたくない」と思うなら、親から進んでお金の話を
将来の親の介護を心配している子どもは意外に多いもの。
「親から先に老後計画について話してあげましょう。特に文子さんは、『月額利用料は年金11万円+貯蓄から7万円』と身の丈に合った予算を立てています。『貯蓄がこれだけあって、将来は施設に入るつもりだから、よろしくね』と話せば娘さんも安心します。元気なうちに、一緒に施設見学に行くのもいいですね」
【ポイント】
将来の希望と使えるお金について伝えておくと、子どもも安心!
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イラスト/タナカユリ
※この記事は「ゆうゆう」2025年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
