私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

【年金の繰下げ受給】年金額が増えても、手取り額が増えない場合もあるので要注意!

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

2025年は、年金制度改正の年です。5年に一度の公的年金の財政検証によって今の給付水準を維持できるのか、保険料負担はいくらが適正なのかなどが検証されます。今回は年金を繰下げ受給にした場合の手取り額について、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに伺いました。

高齢期の生命保険について
>>子育てが終わったあとの【生命保険】はどのくらい必要?死亡保険が必要なケースを検証

繰下げ受給を選択するとひと月ごとに0.7%増える

公的年金の受給開始年齢は、原則として65歳です。ですが、60歳〜64歳の間に受け取り始める「繰上げ受給」や、66歳〜75歳での開始に遅らせる「繰下げ受給」を選択することも可能です。

繰上げ受給をすると、ひと月ごとに0.4%ずつ(1962年4月1日以前生まれは0.5%ずつ)年金額が減ります。この減額率は、生涯続きます。反対に繰下げ受給をすると、ひと月ごとに0.7%ずつ年金額が増えます。仮に5年間繰り下げて70歳から受給を開始すると、0.7×60カ月で42%も年金額を増やせます。

ちなみに繰上げ受給は、いったん選択すると取り消しはできませんが、繰下げ受給は変更が可能。たとえば、70歳から受け取ろうと考え、年金を受け取る手続きをしていなかった人が、70歳以前から受給することもできます。仮に67歳からの受給なら、16.8%増額された額を受け取れます。また、年金額は増額されませんが、65歳までさかのぼって、未支給の2年間分の年金をまとめて受け取ることも可能です。

非課税ラインを超えると給付金などがもらえなくなる

「年金額を増やせる」わけですから、65歳以降も働いている方などは、繰下げ受給を選択しようと考えるかもしれません。ただし、繰下げ受給で増えるのはあくまでも「額面の年金額」であることを知っておく必要があります。年金額が増えることと連動して、税金や社会保険料が増えるとしたら、繰下げ受給が有利であるとは限らないからです。

そこで、繰下げを検討する場合の課税の仕組みを説明します。公的年金には、110万円の公的年金控除(65歳以上)があります。収入が年金のみであれば、基礎控除の48万円と合わせて158万円までなら、収入は非課税となります。

他にも、医療費控除や扶養関係の控除などを受けられれば、非課税となる金額は上がります。もし繰下げ受給を選択しても、非課税ライン以内であれば、繰下げ受給の選択を前向きに考えるのもよいでしょう。

繰下げ受給を選択したとき、非課税ラインを超える場合は要注意です。超えた場合は、所得税が発生するだけではなく、連動して社会保険料も増えてしまいます。また、非課税世帯であれば受けられるさまざまな減免措置の対象から、外れる可能性も高くなります。さらには、近年、非課税世帯を中心に支給されている給付金も受け取れなくなります。

この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ