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【足連載/第1歩】足のトラブルは全身に影響!健康寿命を延ばすために知っておきたい足育の基本

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ゆうゆうtime編集部

膝や腰の痛み、尿漏れも……足はすべてを知っている

高山先生は、こう警鐘を鳴らします。
「爪の状態が悪かったら膝関節がよくないのかもしれない。浮き指が強い人は腰が悪くなることもあります。足のトラブルは単に足だけの問題ではないのです」

膝の痛みや腰痛といった関節痛は、要介護につながります。歩き方や姿勢は骨盤底筋にも影響し、尿漏れの原因になることさえあるといいます。夜間頻尿による転倒リスクも、元をたどれば足の問題に行き着く可能性があるのです。

便利な社会になり、私たちは足を使わなくなりました。「足の寿命は50歳」と言う専門家もいるほど、足の機能は衰えやすくなっています。

人生100年時代、健康寿命を延ばすために、間違った歩き方や合わない靴でただ歩数を稼いでも、かえって体を痛めるだけ。「ただ歩くだけではだめ」なのです。
「正しい爪の切り方を行ったり、運動もできているのか、自分にとって適切な靴下なのか、靴の履き方は正しいのか、今一度見直していただきたいのです」

たとえば、あなたの爪は白く濁っていませんか? 分厚くなっていませんか? それは爪水虫かもしれず、放置すれば変形して歩行に影響し、転倒リスクを高めます。ひどくなると、自分で爪が切れなくなることさえあるのです。
「後悔する前に、自分で足に意識を向けてケアしていればだいぶ改善されます。今からでも遅くありません」――高山先生の切実な願いです。

日本には「足の教育」がない

そもそも高山先生が足に注目するようになったきっかけは何だったのでしょう。
「皮膚科医として病院で患者さんの処置をするだけでは、根本的な解決にはならないと気づいたんです」

タコを削っても、巻き爪を処置しても、患者の足に対する習慣が変わらなければ、また同じトラブルを繰り返してしまいます。
この現実に直面し、根本の原因を減らすためには社会全体の意識を変える必要があると痛感したそうです。

そこで、同じ志を持つ靴屋や看護師、フットケアの専門家、企業など、多職種・多業種の人々と共に「足育(そくいく)研究会」を設立。病院の外で連携し、足の健康の大切さを社会に広める活動を始めました。

高山先生は「歯の健康を守る8020(ハチマルニイマル)運動」(※80歳までに20本の歯を残す)を例に挙げます。
「歯はね、この30年で予防歯科が当たり前になりました。足も同じように教育が必要です」

足についてはまだまだ発展途上な現代、足の洗い方や爪の切り方、正しい歩き方を教わった経験がない人がほとんどです。
「足についての教育がほとんどないのが問題。小さい頃から言われていれば意識も変わると思うんです」

足への意識が低い世の中でその重要性を伝えるのは、とても難しいことだと高山先生は語ります。
「10年間言い続けてきても、なおまだ知られていない世界。そもそも理解されにくいことであるっていうことを、忘れないようにしています」と、初心を常に心に留めているそうです。

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