相続トラブルの3割以上は遺産額1000万円以下!相続が「争族」になったトラブル6例
親の財産、きちんと把握していますか? 法定相続人が誰か、すぐに答えられますか? 意外と知らない相続のこと。親の死後に財産トラブルを起こさないのも親孝行です。新刊『親が75歳を過ぎたら知りたいことが全部のってる本』から、第4回は、相続でモメたケースを6例、ご紹介します。
目次
▼前回はこちら▼
>>75歳以上をねらう【4つの悪徳商法】高齢者こそ陥りやすいやり口を徹底解説相続でモメるかどうかは財産の多寡とは無関係です
相続はきちんと準備しておかないと家族を「争族」に変えかねません。一般社団法人相続解決支援機構の調査によると、「相続時に相続人ともめた経験がある」と答えた人は全体の33%にも上ります。
「でもそれは一部のお金持ちの話でしょ。ウチの親には大した財産もないから大丈夫」と思うかもしれませんが、それは違います。最高裁判所が毎年発行している『司法統計年報』を見ると、家庭裁判所での相続争いの調停・審判のうち、3割以上が遺産額1000万円以下。「争族」は誰にとっても無縁ではないのです。
特にトラブルになりがちなのが、
・遺産が不動産中心で現金が少ない
・親の介護の負担に不平等があった
・生前、親から受けた支援にきょうだいで差がある
などの例です。相続のときに意見が割れてモメる原因になりがちです。
そのほかにも、親に離婚歴があってその相手との間に子がいる、あるいは内縁の子を認知している、ということが亡くなってからわかるケースもあるので、先に確認しておくことも必要です。
<ケース1>生前の口約束が信用できない
Aさんは3人兄弟の末っ子。母は10年前に亡くなり、父が亡くなったあとには自宅の土地と家屋と、預貯金500万円程度が遺された。長男である兄は「親父は生前、『この家は長男であるおまえに渡したい』と言っていた。預貯金は全部2人に渡すから、この家はオレにくれないか?」と言う。しかし、家と土地の評価額は約3000万円。金額が釣り合わず、不信感がぬぐいきれない。
●Point 口約束ではなく書面に
口約束は遺言として認められません。長男は父に遺言書を書いてもらうべきでした。長男が家と土地を相続する場合、Aさんと次男に代償金※を支払ってもらうよう話し合いましょう。
※ 代償分割
たとえば土地や家など簡単に分割できない場合、相続人の1人が現物を相続し、ほかの相続人に相当分のお金(代償金)を支払うのが代償分割。代償金の額や支払い方法をきちんと決めておかないとトラブルの原因に。
