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江戸時代の町人のような暮らしをする【稲垣えみ子さん60歳】「お金って執着しないと不思議と近づいてくる。 今、結構余ってます」

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ゆうゆう編集部

家電を手放し、ガス契約もしない。1日の家事はたったの30分。稲垣えみ子さんが実践する「お金がなくても幸せになれるライフスタイル」とは、果たしてどんなものでしょう。

▼前編はこちら▼

>>家電製品ほぼゼロ、ガス契約もしない【60歳女性ひとり暮らし】“お金がなくても幸せ”なライフスタイルとは?

稲垣えみ子さん フリーランサー

いながき・えみこ●1965年愛知県生まれ。
元朝日新聞記者。2016年に退社し、都内で「夫なし・子なし・冷蔵庫なし・ガス契約なし」のフリーランス生活を送る。
著書に『家事か地獄か』『老後とピアノ』など多数。

「超節電生活」で知る自分が生きるサイズ感

最初は恐る恐るだった。しかし、実際に掃除機を手放したら、ゴミが「見える」のが妙に面白い。テレビを手放すと夜の時間が豊かになった。次なるターゲットは電子レンジ。

「考えてみると、冷凍ご飯をチンするのが主な使い道だったんです。試しに蒸し器でご飯を蒸してみたら、これがめちゃくちゃおいしい! ふっくらムラなく、嫌なにおいもしない。便利な暮らしを手放すことで、得られる喜びもあるんだなぁって実感しました」

最後に残った最大の家電、それが冷蔵庫だった。

「さすがに冷蔵庫がない生活なんて絶対無理って思ってました。それでもコンセントを抜いて、冷蔵庫のない生活を試してみたんです。で、何が起きたかというと、スーパーの買い物が激減した。その日のうちに食べる分しか買えないし家に残っている野菜もあるので、買うのは1つか2つ。食費は1日数百円。人が生きるために必要なお金って、こんなにわずかだったんだって初めて知りました」

それは「会社を辞めても生きていけるか」という疑問に答えが出た瞬間でもあった。

「冷蔵庫がないと、食費は月2万円もかからないんです。だったらちょっとバイトすれば何とかなりそうじゃないですか。会社を辞めたって自分は生きていける! 私は自由だ! これは爆発的な解放感でしたね」

そして冷蔵庫を手放すことで見えてきたのは、それまでの日々の不自然さだった。

「食べられる量以上を買って、冷蔵庫に押し込んで捨てていた。冷蔵庫って『自分が生きるのに必要なサイズ』をわからなくする装置だったんです」

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