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親の「できること」まで奪っていない? 「先回り介護」を見直すサービス選び

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川内 潤

かえって親を老け込ませてしまう

確定申告の時期、税務署の窓口で領収書を広げ、熱心に話し込む高齢者の姿をよく見かけます。「大変そう。誰か代わってあげればいいのに」という声も聞こえてきそうですが、私はその姿を、とても「美しい」と感じます。社会との接点を持ち、自分で役割を果たす機会は、心身の活力を保つ一助になると思うからです。「面倒だから」と子がその役割を取り上げてしまうことは、かえって親を老け込ませてしまう気がしてなりません。

本来、介護サービスとは「その人がその人らしく生きるための補助」。たとえば、「もう歳で、準備や片付けが大変だから」と諦めていた書道を、デイサービスの助けを借りて再開した方がいました。すると、その方はみるみるうちに元気になっていったのです。好きなことに没頭する、その瞬間に生まれる喜びは、決してお金で買えるものではありません。適切なサービスによって、その人の人生がふたたび輝き出すことにこそ、本当の価値があるのだなと思いました。

では、親にとって適切なサービス、必要な支援を、どう判断すればいいのでしょうか。私は、まず家族の意見をケアマネジャーに伝え、その上で、ケアマネジャーが親と話し合って決めていくことをおすすめしています。どこまで本人の力でできるのか、必要なサポートの度合いを見極めるには、プロの目が必要です。

同じような状態でも、人によっては、ヘルパーやサービスを使うと、気疲れしすぎて生活の質が落ちるケースもあります。豪華な設備や手厚すぎる代行サービスが、必ずしも幸せな最期を約束するわけではありません。たとえ、子からは不便に見えても、慣れ親しんだ環境で、自分の足で立ち、自分の頭で考える。親の「不自由な自由」を尊重し、一歩引いて見守ることが大切です。

「心配だから、あれもこれもしてあげたい!」という親孝行の気持ちは、とてもよくわかります。しかし、その「良かれと思って」行う先回りの配慮が、時として親の自立心を摘み取ってしまうこともある——。その事実を、どうか心の片隅に留めておいてください。

POINT

・やること▶必要な支援だけをプロに依頼する
・やらないこと▶親ができる役割まで奪わない

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※この記事は、『介護前夜の教科書 親と自分の人生を壊さないための備え』川内潤著(講談社刊)の内容を、ウェブ記事用に再構成したものです。

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