キムラ緑子さん64歳、舞台やドラマで多忙な日々。「親といられる時間がいちばん大事」と淡路島へ月数回、片道6時間半の「帰省」
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藤岡眞澄
「私にとって、親のことがいま一番必要」
50~60代の多くが抱える遠距離介護のシビアな現実を、キムラさんも身をもって味わっている。
「父は戦後の高度経済成長期のサラリーマン。退職後も淡路島でいろいろな活動に顔を出してきた人です。母は両親から引き継いだ、いまでいう“コンビニエンスストア”みたいな商店を切り盛りしていました。文具から野菜や肉、お漬物まで売るお店。母はほんとうに働くのが好きな、元気で明るい人。でも、いまはそんな母が二度と話せなくなるのかと思い、つらくなる時もある。まだもう少し通じ合えることをうれしく思う時もある。いま、母が少しずつ遠くに行く……、そんな母が幸せだといいなぁと思います」
自宅で一人暮らしをするお父さまも大きな病気を抱え、あまり動けなくなったこのごろ。歩行に介助が必要になったお母さまはキムラさんが淡路島に帰ったときだけ、自宅でお父さまと過ごすことができるのだという。
「父は私に『なるべく帰ってきてほしい』と思っているので、大阪にいる弟とも協力して、帰ったら身の回りの世話をしたり、ごはんを作ったりしています。行ったら3泊くらいはしますね」
そんな淡路島通いの日々のあれこれを、キムラさんは時折、自身のInstagramに投稿している。
介護士さんの配慮により、お母さまの自宅リハビリが実現し、お父さまと会えた日の動画(2025年12月16日)。
「なぁ、ワシや。がんばっとるけぃ。なんも私を覚えてない?」と施設から戻ったお母さまの顔をやさしくさすりながら問いかけるお父さま。すると、介護士さんに両脇を抱えられたお母さまが、か細い声で「あなたが忘れとぅ……」と言葉を返す。その始終、お父さまはお母さまの手をぎゅーっと握って離さない。
「父と母は仲がいいんです。母が施設から帰ると、いつも手をつなぐ。2人がどういう思いなのかと思いを馳せつつ、よかったなぁーと思う時。私にとって、親のことがいま一番必要。やらなきゃいけないこととしては、第1位です」
『エレクトラ』で娘に復讐を誓われるクリュタムネストラを演じるキムラさんの生身の“正義”はここにあるのかもしれない。
【information】詩と音楽の光景『エレクトラ』
2026年12月13日(日)〜12月30日(水) <東京公演>東京建物ぴあシアター
2027年1月16日(土)〜17日(日) <愛知公演>Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2027年1月21日(木)〜22日(金) <大阪公演>梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
父を奪われ、母への復讐に燃える娘エレクトラ。夫を自ら裁いた王妃クリュタイムネストラ。愛と憎しみがぶつかり合うギリシャ悲劇を、台詞と旋律、沈黙と叫びが交錯する「詩と音楽の光景」として描く。これは、遠い神話ではない。そこにあるのは、戦争や分断、暴力が繰り返される今に通じる「正義とは何か」という問い。古代の悲劇が、いま新たな物語として立ち上がる。
原作:ギリシャ悲劇
翻案:岩切正一郎
歌詞:高橋亜子
音楽:ブランド・リー
演出:栗山民也
出演:明日海りお キムラ緑子 中尾明慶
渡邉蒼 徳重聡 豊原江理佳 山西惇 ほか
企画制作:ホリプロ
主催:ホリプロ/ぴあ
公演サイト https://horipro-stage.jp/stage/electra2026/
撮影/橋本哲
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