【ディル】の栽培方法と活用アイデア2選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活
「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第3回は【ディル】です。
本連載の他、桐原春子さんの記事は桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活をご覧ください。
独特の風味が魅力【ディル】
ディル独特の香りはピクルスの調味液などでおなじみ。
ふわふわとした葉と黄色の小さな花も印象的で、クッキングとガーデニングの両方に活躍してくれます。
別名/イノンド
科名/セリ科
性質/一~二年草
草丈/80~120㎝
さわやかな風味の中にピリッとした刺激が
最近はスーパーでも見かけるようになり、一般家庭でもなじみになりつつあるディル。
「ヨーロッパから西南アジアにかけて自生し、古代エジプトで栽培されていた記述があります。紀元1世紀の書物には、疼痛を緩和し、消化をよくすると記されています。また、中世のヨーロッパでは魔女などから守るものとされ、祝祭日に戸口に吊るしたりしていたそうです」
と桐原春子さんは教えてくれます。
現在も枕に入れたり、鎮静作用を期待して、ハーブティーの材料に使われることもあるといいます。
全草に独特の香りがあり、生の葉、茎、タネ、ドライにしたタネが、スパイスやビネガー、ピクルス液、肉や魚の香りづけに利用されます。桐原さんはその風味を「新感覚な味」と表現しますが、さわやかな中にピリッとした刺激を感じさせます。
「北欧や東欧でよく利用され、特にサーモンとの相性がよいことで知られます。クリームチーズと合わせておつまみにもいいですよ。ブルガリアではヨーグルトドリンクにディルを入れたものを体験しましたが、初めての味で新鮮な驚きでした」
フェンネルとの混植は避けて
ディルは高さ80センチほどの茎が直立し、青緑色の羽状の葉は繊細な雰囲気で、観賞用としても美しいハーブ。
「鉢でも庭でも栽培でき、手前に草花を植えると、青緑色のキャンバスになってよく映えます。夏には黄色の小花を傘のように咲かせてきれいです」
日当たりと水はけのよい場所に植えると、こぼれダネで自然と増え、栽培の手間もあまりかからないのもメリット。
「ただし、フェンネルの隣に植えると交雑して香りが変わるので要注意」
草丈が伸びてきたら支柱を添えて
ディルの鉢植えをフォークロア調の鉢カバーに入れました。
ディルの茎は中空で倒れやすいため、伸びてきたら支柱を添えましょう。
こちらの支柱は、3本の枝の上部をワイヤで留め、ビーズを飾ったもの。こうやって手作りすれば、可愛さが倍増します。
初夏〜夏に、黄色の小花が花火のように咲く姿も素敵です。