ヤマザキマリさん「イタリアでは、女性は50代以降になってからが魅力的」という理由は?
自分の人生を振り返ってみても、未成熟で未完成だった若い頃に戻りたい、などと思うことはありません。経験値が足りないにも関わらず、頭でっかちになり、背伸びをし、虚勢を張り、自分の存在理由とは、などと考えては意気消沈したりを繰り返していたあの時代をもう一度繰り返すなんてもうごめんです(笑)。
絶えずお腹を減らしていたほどお金に困り、付き合っていた彼氏との喧嘩に消耗し、世の理不尽さを突き付けられて泣いたり怒ったりしながらも、満身創痍で立ち上がれたあの日々は、10代から20代の自分だからこそできたことです。
けれど、不思議なことにかつては思い返すだけで恥ずかしくて記憶に蓋をしていた思い出も、今では冷静に振り返ることができるようになりました。若い時には傍目を気にしてできなかったことも、今ではそれほど気にならなくなってきていることを思うと、精神が頑強になってきたのかもしれません。こういう現象を要するにオバサン化、というのでしょうけど、堂々と生きられることはすがすがしいし、鍛えられて強くなった自分への頼もしさも、今だからこそ得られる感覚と言えるでしょう。
※この記事は『CARPE DIEM 今この瞬間を生きて』ヤマザキマリ著(エクスナレッジ)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
CARPE DIEM 今この瞬間を生きて
ヤマザキマリ著
エクスナレッジ
幼少期から老人と触れ合い、親の介護、そして死を経験し、多種多様な「老いと死」に触れ、国境をこえた生き方をしてきたヤマザキマリさんが、豊かな知見をもとに考えたことを綴ります。「若さ」と「老い」の価値、他人や他の生き物との「共存」、「ありのままの自分を許す」ことの大切さなど、今この瞬間を楽しむ、明るく人間らしい「善い」生き方を考えます。寿命が何歳であっても「その時」まで思い切り自分の人生を生きたい、そう前向きになれる1冊です。