熟年離婚したいけれど、まとまった財産がありません。坂東眞理子さんのすっきり人生相談
仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。
プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。
相談 ①
老後資金を増やしてほしいと言う母
実母(76歳)は、お金を貯めるのが趣味。最近、「証券会社の人に、ネットで株を買うと手数料が安くなると言われたけれど、ネットがわからない。あなたにお金を預けるから増やしてほしい」と言われて困っています。他人の名義で株を買うのは違法ですし、老後資金が株で目減りしたときに文句を言われそうです。こういう親とのつき合い方は?(50歳・正社員)
お母さまに「ボケないために自分で管理するのがいいよ」と伝えて
財産管理は自分の責任
親子であっても、お金が絡むとお互いに嫌な思いをすることがありますから、「できない」とキッパリ断りましょう。絶対に引き受けてはいけません。 「ボケないためには自分でやらなきゃダメ」「私だって投資なんて不得意。お母さんの大事なお金を減らしてしまうと思うから無理よ」。とにかく親が諦めるような言い訳を考えてください。
年齢を重ねて老後資金が徐々に目減りしていく不安から、お金の管理を子どもに頼ったり、お金に執着したりする高齢者は多いものです。でも、社会学者の上野千鶴子さんはご著書で「子どもから口出しされると尊厳が維持されなくなるから、お金は絶対に最後まで自分で握っていよう」と書かれていますし、評論家の樋口恵子さんも「老年よ財布を抱け」とおっしゃっています。そうした本を読んでもらうなどして、お母さまに「お金の管理は自分の責任」と自覚してもらいましょう。
それでもまだお願いされるなら、「お母さんはいくら持っているの?」と聞いてみては。娘とはいえ教えるのは嫌なはずですから、「じゃあいいわ」と諦めてくれるかもしれませんよ。
または、パソコン教室を紹介し、ネットの使い方を覚えてもらって自分でできるようになるのをアシストしましょう。でも、お金の出し入れや運用には関わらないことです。