【家族疲れ】あれこれと口うるさく、家事を指示する夫が疎ましい|心療内科医・海原純子さんがアドバイス
家族だからこそのストレスとどうつき合うとよい? 心療内科医としてさまざまな心の問題に取り組んできた海原純子さんにアドバイスをいただきました。
PROFILE
海原純子さん
うみはら・じゅんこ●東京慈恵会医科大学卒業。医学博士、心療内科医、産業医。昭和女子大学客員教授。日本ストレス学会理事、日本生活習慣病予防協会理事。
『大人の生き方 おとなの死に方』(毎日文庫)など著書多数。
ジャズシンガーとしてジャズアルバム『Then And Now』などをリリース。
家族疲れはコミュニケーション不足が原因。自分の思いを率直に伝えるトレーニングを
「家族疲れの問題は今も昔も同じ。昔は家族への不満は我慢するのが当たり前でしたが、近年は女性の立場が見直され、不満を言える環境が整ってきた。だから家族疲れという言葉が広まったのでしょう」
と語る海原さん。なかでも目立つのはリタイア後の夫婦関係だが、実は結婚当初から問題がスタートしているケースが多いという。
「若い頃は育児や家計など、他の悩みに対処するのに忙しくて、お互い『まあいいか』ですませてきたのでしょう。そうして長年積み重ねてきた問題が、リタイア後に夫婦で向き合う時間が増えたことで、急に目の前に現れたと感じるわけです」
家族疲れを感じやすい人の特徴は、役割に縛られやすい抑圧的なタイプ。「女だから、妻だから、母だから、こうあるべき」と思い込み、言いたいことをのみ込んでしまう女性ほど、家族ストレスに悩む傾向があるのだという。
「家族のためと思って一人で我慢し続けるから、ストレスがたまりにたまり、やがて爆発してしまう。家族にしてみれば『何でそのとき言わないの?』と不思議に思いますよね。『家族や身内だからこそ本音が言えないのよ』と思うかもしれませんが、家族であってもあなたとは別人格であり、心理学的には『他人』です。だからお互いに一人の人間として接するべきなんですよ」
大切なのは、自分の生活を犠牲にしたり、考えをねじ曲げたりして、相手に合わせるのをやめること。ストレスが爆発してトラブルになる前に、おだやかに、率直に、落ち着いて、自分の気持ちを伝えること。
「あなた自身が変われば、家族関係も必ず変わっていきますよ」
すぐにでも実践できる心強いアドバイスだ。