鎌田 實さんがアドバイスする「ちょうどいい孤独」。個立有縁でいこう
「ひとり」の悩みに鎌田さんがアドバイス
Q いつかひとりになったとき、 「さびしさ地獄」に落ちそうです
A 他人と比較しないで、自分自身の満足感を大切にして
孤独には「さびしさ」という罠があります。さびしさにはまると、どんどん苦しくなります。ひとりで食事をすると「さびしい人と思われるのではないか」と不安になり、夫婦で歩いている人を見ると「自分は不幸だ」と悲しくなる。
でもそれは「ひとりだから」ではないと私は思います。人の目を気にするから、人と比べてしまうからつらくなるのです。「まぁいいや」「自分は自分」と思いませんか? 人と比べなければ、ありのままの自分で生きていけます。
どんなときも、今自分がもっている幸せを自覚しましょう。「ひとりだから、誰にも気兼ねなく好きなものを食べられる」と思うことができれば、それもまた幸せなのです。
Q ずっと家族と暮らしているのでひとりの時間が苦手です
A 新しいことにチャレンジし、ひとりでいる力を鍛えましょう
人間はひとりで生まれ、ひとりで死にます。本来は孤独な生き物なのです。まずは一度、自分のためだけの時間をつくってみませんか?
おすすめは「ソロ美術館」「ソロ博物館」です。事前に申し込みをしておけばゆったり鑑賞できます。カフェが併設されているところもありますから、お茶を飲みながら余韻に浸るのもいいでしょう。
「ソロ図書館」で美しい絵本を何冊かめくるのも楽しいものです。「ソロ映画」や、ときには奮発して「ソロミュージカル」。一度行ってみたいと思っていた場所、やりたかったことに挑戦しましょう。ひとりのよさがわかるかもしれません。
Q ひとり暮らしになったとき孤独死したらと不安です
A どんなに仲のよい家族がいても、皆死ぬときはひとりなのです
孤独死とはそんなに恐ろしいものでしょうか。たとえ親族一同に見守られて死んだとしても、あの世への旅はひとりです。孤独死の増加は、しがらみの少ない生き方を求めて、核家族を選んだ私たちのライフスタイルの結果です。孤独死は、自由な人生と表裏一体なのです。
ひとり暮らしでも在宅医や看護師が見守り、在宅で看取ってもらうことも可能です。亡くなる瞬間にそばにいられないこともありますが、ご遺体が放置されることはありません。
命が消えるその瞬間にひとりかどうかよりも、死に至るまでにどう生きてきたかのほうが大切ではないでしょうか。「ソロ立ち」していれば、死に方は気にならなくなるものです。
※この記事は「ゆうゆう」2022年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/橋本 哲 取材・文/神 素子