人生がきっと変わり始める 「しなやかな心」を手に入れるための6つのキーワード。米国生まれのメンタルエクササイズ「ACT」から
今、世界中が注目しているメンタルエクササイズ、ACT(アクト)。この新しい心理療法が、ずっと解決できなかった心のモヤモヤを、解きほぐして心をしなやかにしてくれるかも。自分らしい人生を生きるためのヒントを3回に分けて紹介する第2回は、6つのキーワードです。
★第1回はこちら★
もう不安やストレスを怖がらなくていい! 心をやわらかくする方法「ACT」は米国生まれのメンタルエクササイズ
Advice
同志社大学心理学部教授
武藤 崇先生
公認心理師・臨床心理士。埼玉県生まれ。1998年筑波大学大学院博士課程心身障害学研究科修了。博士(心身障害学)。ネバダ大学リノ校客員教授として、S・C・ヘイズ博士の研究室に所属。日本におけるACT研究の第一人者で「ACT Japan」の顧問(初代理事長)。ACTの著書・訳書多数。臨床心理学(行動分析学)を専門とする。「心理学は、科学と実践の『二刀流』の体現がキモとなる学問である」がポリシー。
心理的柔軟性は6つのプロセスで構成されます。
それぞれが協力し理解することで、物事の見方が変わり、受け止め方や選択も変わり始めます。そして人生が、自分にとって豊かで意味のあるものとなるのです。
1 脱フュージョン
あなたの「マインド」と距離をとろう
【フュージョンってなに?】
何かと何かが溶けて混じり合い、一つになってしまったような状態のこと。例えば「私は太っている。だから彼に愛されるはずがない」と思ってしまうのは認知的な「フュージョン」。本来は太っていることと、愛されないことは別問題なのに、それが絶対的に正しいことだと信じて疑わない。そんなふうに、私たちは知らず知らずのうちに「フュージョン」しがちなのです。
POINT
● マインドさんの言葉を真実だと思い込むのが「フュージョン」。
● 何かの感情や思考に取り込まれてしまうのが「 フュージョン」。
● フュージョンに気づき、マインドさんと距離を置くのが「脱フュージョン」。
「フュージョン」すると、猜疑心、固定概念、自信のなさなどにとりつかれてしまいがち。例えば「きっと失敗する」と思ったときには、「きっと失敗する、と自分は思っているんだなぁ」に変換してみると、余計な思い込みから距離を置くことができます。
2 アクセプタンス
不安や苦痛に居場所をつくってあげよう
POINT
● アクセプタンスとは、戦ったり逃げたりせず、受け止めること。
● 受け止めはするけれど、好きにならなくていいし、仲よくなる必要もない。
● アクセプタンスするためには「 拡張」というテクニックがある。
不愉快な感情やつらい記憶、避けられない現実の問題が心に浮かんだときは、力を抜いて、思考にスペースをつくる、という考え方。場所を空けて、スペースを拡張できると、直面した問題を一度回避して、受け止めておくことができるのです。
3 観察する自己
マインドさんの言葉を観察しているあなたに気づく
POINT
●「 観察する自己」とは、脱フュージョンやアクセプタンスのために必要なもの。
●「 観察する自己」はあなたをずっと見ている。
● 思考にフックされたとき、それに気づくのが「観察する自己」。
「私は明るく元気」「人見知りだ」など、「イメージとしての自己」を本当の自分だと多くの人は信じていますが、これが心をかたくし、行動を抑制することに。いつも変わらない自分を、冷静に観察できるようになると、心がやわらかくなっていくのです。