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【和田秀樹さんが提言】暴走老人と呼ばれないために、鍛えるべき箇所とは?

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ゆうゆう編集部

年齢を重ねるにつれて、体力だけでなく、気力も衰えてしまいがち。その原因は、脳の「前頭葉」の老化だといいます。前頭葉の老化を防いで「気」を若く保ち、幸せな老後を実現するには何をすればいい? 精神科医の和田秀樹さんに伺いました。

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お話を伺ったのは
和田秀樹さん

1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。主な著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『不老脳』(新潮新書)、『わたしの100歳地図』(主婦の友社)など多数。

怒りや悩みが長引くのは、前頭葉の衰えが原因

「50歳を過ぎた頃から、体が悪いわけでもないのに、何だかやる気が出ない、出かけるのがおっくうと感じることが増えた……という人は、脳の『前頭葉』の機能が衰えてきた可能性があります」

そう話すのは、老年精神医学・老年心理学の専門家として、アンチエイジングに関わる診療を行っている和田秀樹さん。

「人間の脳は、年とともに萎縮していきます。萎縮とは、言い換えれば脳の老化。人間の脳は大きく4つの領域に分かれています。なかでも最も早く老化するのが前頭葉で、早い人は40~50代から萎縮が目立つようになります。前頭葉の主な機能のひとつは意欲と感情のコントロールですから、前頭葉が老化すると、やる気が起きない、おっくうになるといった症状が出るのです」

前頭葉には、他にも、新しい発想や創造性、感情や考えのスイッチングを司る機能があるという。

「そのため、前頭葉が老化すると、新しいアイデアが出にくくなって創造力が乏しくなり、よく知っている店しか行かない、好きな作家の本しか読まない、といったルーティンに陥りがちです。気持ちの切り替えもうまくいかず、怒りっぽくなったり、何かのきっかけで悩み始めると、いつまでもくよくよ悩んでうつっぽくなったりします」

更年期でイライラやうつの症状が出るのと、どう違うのだろう?

「イライラやうつ自体は、更年期でホルモンのバランスが崩れたり、神経伝達物質のセロトニンが不足したりして起こります。そこに前頭葉の老化が加わると、ブレーキがうまく効かなくなる、ととらえてください。仮に何かでカッときても、本来なら前頭葉が『このまま怒り続けると周囲の信頼を失う』など理性でストップをかけるのですが、その機能が弱まっているために、怒りを抑えられない。公の場で怒鳴り続ける『暴走老人』と呼ばれる高齢者も、前頭葉の老化が原因と考えられます」

脳の領域と役割

人の脳には4つの領域があり、それぞれ機能を分担しています。そのため、どこで脳の萎縮が起こるかによって、認知機能の衰え方は異なります。

①前頭葉

自発性、意欲、気持ちの切り替え、創造性や意欲、感情のコントロールを担う。老化すると、意欲や自発性がなくなってボケやすくなる。

②側頭葉

言語理解や形態の認知を司る。側頭葉に問題が起きると、「自分で言葉は話せるが、相手の話が理解できない」などの症状が起こる。

③頭頂葉

計算機能や空間認知などを担う。老化が緩やかなため、高齢になってもパズルを解いたり、おつりの計算などができたりする人は多い。

④後頭葉

視覚情報を理解する領域。視覚狭窄や、何か見えているが何かがわからない、といった症状は、後頭葉に問題が生じて起きる。

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