年に1500人以上も命を落とす【熱中症】「私は大丈夫」と思っていても、知らないうちにしのびよる症状とは?
温度計や湿度計をチェック。水分補給、食事もしっかり
熱中症にかかりやすくなっているゆうゆう世代は、意識して対策をとりたい。
「急激な温度の上昇に体がついていけないと熱中症になりやすいのです。『暑熱順化』といって、体を暑さに慣らしておくことが大事です。体が暑さに慣れるまでには3日くらいかかるといわれています。涼しい時間帯のウォーキング、室内での筋トレやストレッチなど、体を適度に動かして、体を中から温めて汗をかくようにしましょう。シャワーより入浴がおすすめです」
外出時は日傘や帽子で直射日光を避ける。衣服も、体に熱がこもりにくい素材やデザインを選びたい。
家の中ではエアコンを上手に使って、高温多湿の環境をつくらないように。
「自分の感覚だけに頼らず、温度計や湿度計、熱中症警戒アラートなどで客観的な情報を得ましょう。室温は就寝中も28~29度程度をキープしたいですね。クーラーは苦手という人もいますが、最近は夜も気温が下がらず、窓を開けても涼しくならない日が増えています。直接の冷気が苦手なら、隣の部屋のエアコンをつけて寝室を冷やすようにするという方法もあります」
食事と水分補給にも気を配りたい。
「血液循環や体に必要な物質運搬に欠かせないアルブミンというたんぱく質が不足しないよう、肉や魚、卵、大豆製品など、たんぱく質を欠かさずとりましょう。一般的には3食きちんと食べていれば食事からも水分はとれているので、あとは飲み物として1日1ℓを目安に。起床時、食事のとき、お茶の時間、脱水状態になりやすい入浴前後、就寝前などに分けて飲むといいでしょう。食事を抜いた場合はプラス500mlを。外出時は小さなボトルを持ち歩いて、こまめに飲みましょう」
水分ではあるが、利尿作用のあるカフェイン飲料は控えめに。酒類は水分補給にはならないという。
「アルコールは、代謝に水を必要とするからです。たとえばビール200mlの代謝には200mlの水が必要となります。適度な塩分も必要ですが、とりすぎはNGです」
【ドクターから一言】
高温多湿の梅雨どき、急に気温が上がる梅雨明けなどは要注意。
運動や入浴で体を暑さに慣らす「暑熱順化」を心がけて。
※この記事は「ゆうゆう」2023年7月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
★あわせて読みたい★
常喜医院 院長
常喜眞理
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。
じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。