要チェック! 2週間以上、咳が続いているなら風邪ではなく【咳喘息】かも!?
風邪をひいた後、のどの痛みも鼻の症状も治まったのに、咳だけが長く続いている場合は、咳喘息かもしれません。繰り返すことの多い病気なので、早めの診断、治療が大切です。
風邪の他、天候・気圧の変化、疲労やストレスも誘発の要因に
最近、よく耳にする咳喘息とは、どのような病気なのだろう。気管支喘息とはどう違うのだろう。
「咳喘息はアレルギー疾患の一つで、主な症状は咳です。空気の通り道である気道が炎症で狭くなり、過敏になっている状態です。いっぽう、気管支喘息ではさらに気道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。気管支喘息では、息をするとヒューヒュー・ゼーゼーという音(喘鳴)がありますが、咳喘息にはこのヒューヒュー・ゼーゼーがありません」
と、池袋大谷クリニック院長で呼吸器専門医でもある大谷義夫さん。
咳喘息は気管支喘息の一歩手前、と考えていいのだろうか。
「そうですね。咳喘息の人の約30%が気管支喘息に移行するといわれています」
咳喘息は1979年に、初めてアメリカで報告されたという。
「日本人の約10%は咳喘息の素因をもっているといわれていますし、患者さんは年々増えていると思います。10代から80代まで、年代を問わずに発症しています」
咳喘息発症の要因はさまざまだ。
「誘発のきっかけとして最も多いのは風邪です。風邪はウイルスなどによって上気道(のどや鼻)に炎症が起こり、咳や鼻水、のどの痛みなどの症状が出ます。風邪の症状は治まったのに咳だけが長く残っているようなら咳喘息を疑いましょう。特に、花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など、アレルギー素因をもった人に起こりやすいですね」
季節の変わり目や梅雨どき、台風が来るときなど、天候や気圧の変化も関わっているという。ほこりや花粉を吸い込んで悪化する人、飲酒や激しい運動で悪化する人もいる。さらに疲労やストレスも要注意だ。
「最近では、新型コロナウイルスに感染した後に、咳が長引き咳喘息に移行した人や、いったん治まっていた咳喘息が再発したという人もいます。新型コロナウイルスも呼吸器感染症の一つですから」
ところで喘息というと、小児喘息が思い浮かぶが、関連はあるのだろうか。
「小児喘息の人の約3分の1は治ります。約3分の1は大人の喘息に移行します。残りの約3分の1はいったん治ったと考えていたものの大人になって再発し、咳喘息や気管支喘息になっています。咳喘息の診断を受けた人の中には、『そういえば子どもの頃喘息だった』と思い当たる人も一部にいらっしゃいます」