私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

その下痢や便秘大丈夫?10人に1人がなる【過敏性腸症候群】。避けるべき食品とは?

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

薬物療法、メンタルケア、食事療法による治療

診断はどのように?

「過敏性腸症候群には、国際的な診断基準があります。基準には『最近3カ月の間に、月に3日以上にわたっておなかの痛みや不快感が繰り返し起こり、次の3つの項目のうち2つ以上の特徴を示す』とあります。3つの項目とは、『排便によって症状が改善する・症状とともに排便回数が増えたり減ったりする・症状とともに便が軟らかくなったり硬くなったりする』です。最初に説明しましたが、腸に腫瘍や炎症などの病気がない、というのが前提です」

そのために病院では、血液検査と大腸内視鏡検査を行い、必要であれば寄生虫の糞便検査、胃の内視鏡検査や腹部超音波検査、CT検査を行う。小腸内視鏡検査が必要な場合もあるそうだ。過敏性腸症候群と診断された場合には、どのような治療を?

「治療には薬物療法、メンタルケア、食事療法があります。薬物療法では、整腸剤や下痢止め、自律神経に作用する薬、腸の動きを整える薬など、症状に合わせて処方します。薬の種類、量、飲む頻度などは、患者さんと相談しながら調整していきます。精神的なストレスが強い場合は抗うつ薬を使うことも。食事療法では確実なものはありませんが、改善される方も多いですね」

食生活で避けたほうがいいものは、コーヒー、アルコール、香辛料、炭水化物・脂質の多い食事など。

「海外ですすめられている低FODMAP食という方法もあります」

低FODMAP食を知っていますか

過敏性腸症候群の食事療法として海外ですすめられている低FODMAP(フォドマップ)食。

「FODMAPというのは発酵性の高い低分子の食物繊維群のことで、高FODMAPであるにんにく、玉ねぎ、豆類、小麦などは避けたほうがよい食品とされています。すべてを避けるのは難しいですが、無理のない範囲で試してみてもいいと思います」と常喜さん。

高FODMAP食品の一例

にんにく

玉ねぎ

さやえんどう

小麦

規則正しい生活を送ることが大事

食事療法に加え、適度な運動、プロバイオティクス(腸内環境を改善する乳酸菌やビフィズス菌など)の摂取もおすすめ。

「適度な運動は腸の動きを助け、ストレスを和らげることにもつながります。プロバイオティクスは人によって合うものが違うので、いろいろ試してみてください。高額なものではなく、身近で手に入るものでかまいません。また、夜勤の多い方に多いという報告もあり、起床・睡眠など、規則正しい生活も大事です」

再発も多いと聞くが……。

「一時的なストレスなどで症状が出ている人は治る場合もありますが、多くの人はいったん治まっても季節や体調などによって、また症状の出ることが多いのです。体質なので、『すっきり完全に治そう』と思うとつらくなるので、受け入れて『上手につき合っていこう』と思うのがいいですね」

【ドクターから一言】
体質なので「すっきり、完全に治そう」と思うとつらくなります。
「上手につき合っていこう」と思うのがおすすめです

※この記事は「ゆうゆう」2021年11月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

▼あわせて読みたい▼

>>頭痛、歯の痛み、気分の落ち込みは気象の変化が原因かも!?【気象病】のメカニズムとは? >>急に不安になったとき、息苦しさへの対処法。【15秒で効く応急ケア】を知ってる? >>カレーを常温で放置すると菌が大繁殖!? 夏こそ危険が潜む【食中毒】の最新情報を公開!
監修者

常喜医院 院長

常喜眞理

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ