50歳を過ぎたら骨折リスクが高まる!?【骨粗しょう症】の予防法、治療法とは?
手首や大腿骨を骨折する危険が。治療には食事や運動も重要
「骨粗しょう症になると、腰、肩、ひざなどに痛みが出る場合もありますが、ほとんどは自覚症状がありません。骨粗しょう症の人の骨は少しの刺激で折れることがあります。転んで骨折したことがきっかけで、骨粗しょう症がわかることも多いですね」
50代以降に多いのは、手首と太もものつけ根の大腿骨頸部の骨折。
「手首は転びそうになって体を支えようとして手をついて折れる人が多く、大腿骨は尻もちをついた衝撃で折れる場合が多いようです」
50代以降の骨折、特に大腿骨の骨折は治るまでに時間がかかる。歩行ができずに筋肉が衰え、高齢者では寝たきりにつながるリスクも。
「50歳を過ぎたら、骨密度の検査を受けましょう。骨密度は年々、変化するので、閉経後は1~2年に一度、定期的に受けるのがおすすめです」
検査は、かかとやすねの骨に超音波を当てて測定する「超音波法」、大腿骨などに2種類のX線を照射し全身の骨密度を測定する「二重X線吸収法(DXA法)」などがある。内科や婦人科、整形外科などで受けられるが、検査機器があるかどうかを確認して予約を。
検査で骨粗しょう症と診断されたら、どのような治療法があるのだろうか。
「以前は骨粗しょう症は根治が難しいといわれていました。現在は新しい治療薬の登場で根治まではいきませんが、寛解が目指せるようになりました。治療には薬も使われますが、食事や運動など生活習慣の見直しも重要ですね。食事や運動は骨粗しょう症の改善だけでなく、予防にも役立ちます」
治療薬には、骨を作るために必要なカルシウムやビタミンDの製剤、破骨細胞に作用して過剰な働きを抑える薬、骨芽細胞を活性化させる薬などがある。
「薬は骨粗しょう症の程度や、患者さんの状況に応じて使い分けます。食事は骨に必要なカルシウム、骨にカルシウムを吸着させるのに必要なビタミンD、ビタミンKを含む食べ物を積極的にとりましょう」
藤澤さんのおすすめはカルシウムの多いいわし、さば、さんまなどの魚、干しえびや木綿豆腐、乳製品、ビタミンDを含む鮭やきのこ、ビタミンKを含む納豆やほうれん草、ブロッコリーなど。
「魚は水煮缶もおすすめです。ビタミンDは日光に当たると体内で作られるので、1日15分程度は日光に当たりましょう。運動は骨に負荷のかかるジョギングやウォーキングなどがいいのですが、階段を一段一段しっかりと踏み締めて上り下りするのも骨トレーニングになります。運動はなかなか続かない人が多いのですが、毎日コツコツ続けることが大事です」
カルシウムを多く含むおもな食材
ビタミンDを含むおもな食材
ビタミンKを含むおもな食材
【ドクターから一言】
年とともに低下する骨密度。骨にいい食事と骨を鍛える運動で骨の健康を維持しましょう
※この記事は「ゆうゆう」2022年4月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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Dr.孝志郎のクリニック 院長
藤澤孝志郎
ふじさわ・こうしろう●宮崎大学医学部卒業。総合内科専門医。医学教育の第一人者としても知られ、「サマライズ」など、その講座を受けて医師になった医学生は10万人以上。著書に『1日5秒 骨トレーニング!』『内科系専門医試験 解法へのアプローチ』など。
ふじさわ・こうしろう●宮崎大学医学部卒業。総合内科専門医。医学教育の第一人者としても知られ、「サマライズ」など、その講座を受けて医師になった医学生は10万人以上。著書に『1日5秒 骨トレーニング!』『内科系専門医試験 解法へのアプローチ』など。