【60代からの住まい術】目指すは「無理に相手に合わせない暮らし」毎日が快適になる3つのリフォームポイントとは?
体にこたえる冬の寒さや夏の暑さ、キッチンの使いにくさなど、これまで感じていた住まいに関する不便やストレスをリフォームで解消しませんか? 20年後、30年後も安心して住み続けるための備えも含め、リフォームのコツを一級建築士・水越美枝子さんに伺いました。
▼60代のリフォーム実例▼
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お話を伺ったのは
水越美枝子さん 一級建築士、キッチンスペシャリスト
みずこし・みえこ●一級建築士事務所「アトリエサラ」共同主宰。
新築、リフォームの住宅設計からインテリア、収納設計までトータルで快適な住まいづくりを提案している。手がけた物件は300以上。
著書に『理想の暮らしをかなえる50代からのリフォーム』(大和書房)他。
住まいの断熱化で老後まで安心・安全に暮らせる家に
一級建築士・水越美枝子さんのもとをリフォームの相談で訪れるゆうゆう世代の多くが、口にするフレーズがあるという。それは、「人を呼べる家にしたい」ということ。
「お子さんの結婚をきっかけにリフォームを考え始める方が、実はとても多く、『今の家では婿や嫁、孫たちを招けない』という理由で、リフォームを決める方もいます」
しかし、せっかくリフォームをしても、家の中が快適でなければ、もてなすほうも、もてなされるほうも心地よく過ごすことはできない。特にゆうゆう世代にとって家の快適さは、健康に直結する問題でもある。そこで水越さんは、リフォームをするなら家の断熱もセットで提案するのだそう。
「人が感じる快適さに大きく影響するのは、何といっても室内の温度です。今から20~30年前、ゆうゆう世代が家を購入した頃に建てられた家は断熱性能が低いため、冬は寒く、夏は暑い。寒さ・暑さを我慢していては、家の中でのびのび動けず、家事もおっくうになってしまいます。健康面でも冬はヒートショックのリスクが高まりますし、夏は地球温暖化の影響で、室内にいても熱中症の危険は増すばかり。暖かい家に住んでいる人は、寒い家に住んでいる人に比べて健康寿命が4歳延びるという調査結果もあるほど、寒さ・暑さの解消は健康に影響します。窓を二重サッシにするなどは、さほど大がかりでなくてもできる。住まいの断熱化を検討してみてはいかがでしょう」
併せて考えたいのが、老後のこと。わが家で老後を過ごしたいと考えている場合、どのような備えが必要なのだろうか。
「大切なのは、いつまでも住み続けられるように環境を整えておくこと。特に体が不自由になったときでも、一人でトイレやお風呂に行ける環境をつくっておくことは生きる力につながります。具体的なプランが思い浮かばない場合は、20年後、30年後の過ごし方をイメージしてみてください。『寝室のそばにトイレがあるとラクかも』など、必要なプランが浮かぶはずです」
リフォームをするなら、家事や生活の中で感じている不便さやストレスもぜひ解消したい。