12月から本格導入の【マイナ保険証】手持ちの健康保険証はいつまで使える?メリットは?プロがわかりやすく解説!
2024年12月2日から健康保険証の新規発行が廃止され、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行します。マイナ保険証の本格導入が始まることで私たちにどんな影響があるのか、今後の移行スケジュールや利用のメリットとともに、社会保険労務士の伊藤紀代美さんが解説します。
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「マイナ保険証」の利用状況
マイナンバーカードに健康保険証としての機能を加えた「マイナ保険証」が、2024年12月から本格的に導入されます。24年8月末時点のマイナンバーカードの保有率は74.8%。そのうち、80.6%の方がマイナ保険証として利用するための登録手続きをすませているといわれています。しかし、マイナ保険証の利用率となると、わずか12.43 %にとどまっており、まだまだ多くの方が利用には消極的であることがうかがえます。
移行スケジュールは?
次に、保険証をめぐる今後のスケジュールを確認していきましょう。
まず、24年12月2日以降は、健康保険証の新規発行が廃止され、この日からマイナ保険証での受診が基本となります。ただし、現在お持ちの健康保険証がすぐに使えなくなるわけではありません。25年12月1日(国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方は保険証に記載されている有効期限)までは引き続き使用できますのでご安心ください。
では、25年12月2日(もしくは有効期限)以降は、マイナ保険証が必須になるかというと、これまたそうではありません。マイナンバーカードを持っていない方、持っていてもマイナ保険証として利用するための登録をしていない方には、加入する健康保険組合などから「資格確認書」が発行されます。これが保険証の代わりとなります。
つまり24年12月2日から1年間(もしくは有効期限まで)は、マイナ保険証か健康保険証のどちらかを、25年12月2日(もしくは有効期限)からはマイナ保険証か資格確認書のどちらかを使用する仕組みへと移行していきます。
この他に、加入する健康保険組合などから「資格情報のお知らせ」が順次発行されます。すでに届いている方もいらっしゃるかと思いますが、これはマイナ保険証の保険情報を読み取るカードリーダーが使えない病院などで使用するもの。表1に医療機関で受診する際に必要な保険証などについてまとめました。ご確認ください。
表1 病院での受診、薬局で薬をもらう際に必要な保険証などについて
マイナ保険証を使うメリットは?
マイナ保険証の使用にはいくつものメリットがあります(表2)。
たとえば、過去に処方された薬や検診などの情報を複数の医師や薬剤師が共有できるため、より適切な医療が受けられるようになります。高額な医療費が発生しても、窓口で支払う自己負担額を、手続きなしで所得に応じた限度額にとどめられるようになります。
確定申告をされる方であれば、「マイナポータル」(行政手続きのオンライン窓口)から受診記録が確認できるため、領収証の保管や提出といった手間なく医療費控除が申請できることも大きなメリットとなるでしょう。