愛の告白はホッカイロで⁉あこがれの先輩へ投げられたあんまりなラブレター【みんなの初恋体験記#2】

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ラルクのHYDEさん似のあこがれの先輩を遠くから見つめるだけの片思い

中学1年生の冬、私は一つ上の先輩にあこがれていました。直接話したことはなかったのですが、学校内で「かっこいい」と有名な存在で、何となく気にかけているうちに、いつの間にか「好き」という気持ちになっていたのです。今思えば、恋というよりも、あこがれに近い感情だったのだと思います。
その先輩は、L'Arc〜en〜CielのHYDEさんに似た、彫りの深い顔立ちをしていました。すれ違うたび、教室の窓から見かけるたびに、私は（かっこいいなあ…）とうっとり。ただ、話しかける勇気など到底持てず、遠くから見つめるだけの片思いを続けていました。
そんなある冬の日の休み時間、私はクラスの友達と恋バナをしていました。その時私は、振ると温かくなる長方形のカイロを手に持っていたのですが、話しながらもなんとなく手持無沙汰で、何気なくマジックでカイロに落書きを始めました。「○○先輩好き！」「○○なところが素敵」「部活応援してます！」──そんな言葉を、軽いノリで書きなぐっていました。
その時、たまたま近くきたクラスの男子が、「なに書いてるんだよ！」覗き込んできたのです。この男子は、先輩と同じバスケット部の子。「●●先輩が好きなんだ！じゃあ告白すればいいじゃん！」とからかいながら、なんとそのカイロをひったくられてしまい、そのままカイロを持って教室を走り出て、先輩のクラスへ向かって全力疾走していったのです。

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愛の告白が書かれたカイロがどこに⁉

「ちょっと待ってよ！」私は顔から火が出る思いで慌てて追いかけましたが、男子は廊下を走り、2年生の先輩のクラスに到着。私が追いつく前に、持っていたカイロを先輩の教室に投げ込んだのです。（なんてことするの⁉）と青ざめる私。
突然教室内にカイロが投げ込まれた教室の中からは「何これー！」とざわざわする声が聞こえてきました。そして名前が書いているためすぐ先輩本人の手に渡ったようで、なんと先輩がカイロを手に持って廊下に出てきたのです。廊下に出てきた先輩と私は、目が合ってしまいました。
一瞬、時間が止まったような気がしました。そして私は、恥ずかしさのあまりその場から走って逃げてしまいました。
もしカイロに名前を書いていたらラブレターになっていたかもしれませんが、幸いにも、カイロには私の名前を書いていませんでした。また、私は先輩と話したこともなかったので、このカイロ事件後も先輩から認識されることはなく、私は先輩の顔を見ることができなくなり、自然とそのあこがれの気持ちも薄れていきました。
先輩はそのあと同学年の方とお付き合いを始められたと記憶しています。
当時は顔から火がでる思いでしたが、今はあの冬のカイロ事件もただの懐かしい思い出として、笑い話の一つになりました。

（40代・会社員）

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