【夏樹陽子さん・72歳】二度の結婚生活を経て、今がいちばん幸せと語る理由とは?
俳優としての仕事をしながら、フェラーリをカッコよく乗りこなしたり、能に挑戦したりプライベートライフも充実させて輝いている夏樹陽子さん。二度の結婚生活を経て、現在の暮らし方がいちばん幸せと語る夏樹さんに、上手な「ひとり」の過ごし方を聞きました。
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お話を伺ったのは
夏樹陽子さん 俳優
なつき・ようこ●1952年三重県生まれ。
ファッションモデルとしての活動を経て、77年に映画『空手バカ一代』のヒロイン役で俳優デビュー。
映画、ドラマ、舞台などで幅広い分野の作品に出演。
ジュエリーデザイナーやコスメプロデューサーとしてもマルチな才能を発揮して活躍している。
ひとりのときに感じる孤独よりも、誰かと一緒にいるときに感じる孤独のほうがずっと寂しい
常に華やかでエネルギッシュ、俳優としての仕事の一方、ジュエリーデザイナーとしてブランドを立ち上げるほか、コスメをプロデュース。能や歌のライブに打ち込み、愛車のフェラーリを颯爽と乗りこなす。夏樹陽子さんといえば、人生の楽しみ方が上手な女性という印象が強い。孤独とは無縁な人というイメージもあるが、どうしようもない寂しさを感じることもあるのだろうか。
「もちろん、どうしようもない孤独感や深い落ち込みにさいなまれ、立ち直れないと思ったこともあります。特に結婚していた時期がそうかもしれませんね。孤独ってひとりでいるときに感じるものよりも、誰かと一緒にいるときに感じる孤独のほうがずっと寂しいんです。一緒にいても心が通じない、パートナーがいても私はひとりなんだと強く感じたときは本当に辛かった。でも独身に戻ってからは、不思議とそれがほとんどない。自分らしく生きられるということは、人生を歩むうえで大事なことなのだと思います」
幸せは歩いてこない。自分から勇気をもって人とつながりに行く
そんな夏樹さんの今の幸せを支えているのが、3匹の愛犬たちだ。5歳のマカロン(♀)、そしてマカロンの産んだ3歳のマドレーヌ(♀)とエクレア(♂)。3匹のトイプードルが夏樹さんの今の家族だ。
「最年長のドロップは、最期はメラノーマという病気を抱え、昨年11月に旅立ちました。18歳5カ月でした。次にマカロンを飼い始めて。私が子どもを産んだことがないので、子育てを経験してみたいと思ったんです。それでマカロンに『産んでくれる?』と聞くと、『ウン』と言ってくれた気がしたので(笑)。お見合いをし、5匹の可愛い子犬を産んでくれました。そのうち手元に置いた2匹がマドレーヌとエクレアです。彼女たちのおかげで私は念願の子育ても体験できています。犬を飼ったのは寂しかったからではなくて、やはり彼らを通して人生の大変さも喜びも体験したいという思いがあったんですね。そして今それができています」
その3匹の「子どもたち」を中心に回る生活に、今は孤独を感じる暇もないという夏樹さんだが、長い人生には、もちろん深く傷つき激しく落ち込むときもあった。
「そういうときは人に会う気力もなくなるし、こんな自分を人に見せたくもないとも思う。そりゃあ人生いろいろあります。でも、どうしようもないんだったら、誰にも助けてもらえないんだったら、自分でどうやったら解決できるかという方法を、絶対あるはずだと思って必死に考えるしかない。考えるって大事なことでね、自分の考え次第で何か生まれるんです。今、スマホで簡単に答えが得られる時代でしょう。でも頼りすぎてはダメ。自分でじっくり考えて考えて答えを見つけるんです」
よく気をつけて見てみれば、自分が本当は「たったひとり」ではなく、どこかしらで誰かしらとつながれる機会もあることに気づくはず。夏樹さんは、集配に来てくれる宅配便各社の担当のお兄さんとも仲よくなって、その人たちと一言、二言交わすだけでも、そのつながりを実感するという。
「それに犬の散歩をするようになってから、いろんな人と声をかけ合うようになったんです。相手は私が俳優であることにも気づいていません。でも犬への愛情を通して仲よくなっていける。やはり孤独から抜け出すためには、待っているだけではダメなんですね。勇気をもって自分から踏み出すことも大事。まさに『幸せは歩いてこない。だから歩いていくんだよ』です」
そういうときこそ、無理にでもおしゃれしてメイクして外へ出る。
「“美は意志力” “元気は継続力” “心は自己力”。この3つを常に心がけています。美しくありたいという意志。元気でいるための日々の健康管理。そして辛いこと、苦しいことにも負けないという自分を信じてあげることです」