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現実の“しんどさ”が際立つ典子(飯島直子)に共感!「続・続・最後から二番目の恋」は今の私たちに刺さる 第7話レビュー

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柚野木

答えが出るかどうかわからないことを受け止めて楽しむ——このドラマの大きなテーマだ

そしてこの話にピンときた和平は、影響を受け、すぐにその言葉を使っている。
鎌倉市長(柴田理恵)から「自分の後継者に」という誘いを受け、途中経過の報告として、いまの心境を市長に語る場面だ。

推薦されて光栄だなという気持ちと、自分なんてとんでもないという気持ち。両方がまざりあって、それを楽しんでいる。そして、この話を受けてから鎌倉を見る目や仕事に対する考え方も変わった。ここで経験した心のゆれや感じたことは、心の中で発酵して、いつか自分の力になるような気がする、と和平は語る。

「ミソ帳」の話、そして時間をかけて考えて、心がゆれることを肯定して楽しむという話。これは千明と和平の「あいまい」な関係性を楽しむ感覚につながっていると思う。

答えにたどりつくまでの時間を楽しむこと、そして答えが出るかどうかわからないことを受け止めて楽しむこと。これはこのドラマの大きなテーマだと思う。

この回では万理子が脚本家としてのひとつ難所を乗り越えていく。仕事の上で煮詰まっていた時間がしばらく続いた先に、自らのことを語る勇気を得て(意外な同僚に背中を押されて)奮起する。ここではいくつかの回想シーンが出てくるのだが、まさに万理子の心の中でいろんなものが発酵していったことで得られた結果であることが描かれている。

一方で、典子は雑誌モデルとしては順調な滑り出しのようだが、本人は「にせもの」の自分が評価されていると感じて、むしろ落ち込んでいく。リアルな自分をさらけ出したら、みんながドン引きするだろうと思い込み、隠そうとする。そして隠せば隠すほど、一人でいるときの現実の「しんどさ」が際立っていく。

このドラマは、大人の感じる切なさにそっと寄り添っていきながら、ときにファンタジックな要素を盛り込んで物語が編まれているが、ここでは典子の家の散らかり具合を伝え、精神的にしんどい様子を見せて、これまでの展開と少し違う深刻な気配を匂わせる。さらに、病院で診察結果を待っている真平(坂口憲二)のことも気がかりだ。

コロナ禍を経て、社会状況もどんどん変化していくなか、パート1が放送されたころと同じマインドではいられないよね、というのも今パートのメッセージなのかもしれない。ここから長倉家のみんなと千明がどのように困難を乗り越えていくか見守っていきたい。

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