広い一軒家から45㎡の賃貸マンションへ。人生後半戦、住まいのダウンサイジングは正解だった?【広瀬裕子さんのターニングポイント#2】
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ゆうゆうtime編集部
60代を前に瀬戸内から東京へ移住したエッセイストの広瀬裕子さん。住まいも、広い一軒家からコンパクトなマンションへと大きく変化しました。新刊『60歳からあたらしい私』にも綴られている、住まいのダウンサイジングが広瀬さんの暮らしに与えた影響についてうかがいました。
PROFILE
ひろせゆうこ●1965年東京都生まれ。エッセイスト、設計事務所共同代表。葉山、鎌倉、瀬戸内での暮らしを経て、2023年より再び東京へ。瀬戸内時代の1/3の広さの都心の賃貸マンションに愛猫「あめ」と暮らす。最新刊は『60歳からあたらしい私』(扶桑社)。『50歳からはじまる、あたらしい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)ほか、著書多数。
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≫≫「シングルで子どもがいない私」が、60歳目前で生まれ故郷・東京に戻ることにした理由 【広瀬裕子さんのターニングポイント#1】コンパクトな住まいは、掃除が短時間で済んで快適な室温を保ちやすい
―60代のためのスタートラインを引き直したいと、瀬戸内から生まれ育った東京へ戻っていらした広瀬さんですが、住まいについてはどのように考えられましたか?
移住当初から広さ45㎡の賃貸マンションで暮らしています。狭いかもしれないと思いましたが慣れるもので、今はこの広さが心地いいですね。
東京への移住前、亡き父が暮らしていた施設の部屋は、ベッドなどの必要な家具が少しだけ置かれたワンルームでした。それを見て、居心地のいいホテルの部屋のようと思っていました。コンパクトな部屋を選んだのは、父の施設の影響もあるんです。
―瀬戸内での一戸建ての住まいとくらべて、広さは1/3くらいだそうですね。
そうなんです。でも、年を重ねていくことを考えると、やはりコンパクトな住まいにしてよかったと思います。特に掃除が短時間で済んで、室温を一定に保ちやすいところが気に入っています。ネコと暮らしているので、夏や冬はエアコンをほぼつけたままにするのですが、電気代も思ったよりはかかりません。真冬も寒くて布団から出られないということはないので、体への負担も少ないのかもしれません。
―著書でも、快適な室温で暮らせることのよさについて触れていましたね。
若いときは季節を受け入れて、暑さ寒さのなかで楽しみを見つけることができました。それが、いつしか難しくなってきたなと。
―もともと東京ご出身ということで、都内にご実家の建物もあるのですよね。そちらで暮らすことは考えていますか?
少し時間はかかりそうですが、実家は売却するつもりです。築50年ほどの家なので、住むとなると耐震工事が必要です。2階建ての一軒家はひとり暮らしをするには広すぎますし、掃除も大変そう。さらに最近は物騒なので、セキュリティ面の対策も必要になると思うんです。
実家については、どうしようかと迷っているかたがきっとたくさんいますよね。私自身もやはり心が揺れていますが、兄弟姉妹がいないということもあって、そういった対策や管理をするのも自分ひとり。冷静に考えると手放すほうがいいと、懐かしさといった感情とは切り離して判断しました。