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睡眠不足が「認知症リスク」に直結? 専門家が教える「正しく眠れているか」チェック法

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ゆうゆう編集部

雑誌「ゆうゆう」読者の調査では、約7割の人は「眠りが浅い」「夜中に何度か目が覚める」といった悩みがあるという結果に。そこで、覚醒をつかさどる「オレキシン」を発見した睡眠ドクター・櫻井武さんから、睡眠に関する驚きの新常識を学びます。

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教えていただいたのは
櫻井 武さん

さくらい・たけし●医学博士。
筑波大学医学医療系教授、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授・副機構長、日本睡眠学会評議員。
筑波大学大学院在学中に、血管収縮因子・エンドセリンの受容体を単離。
テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターにて、柳沢正史さんとともに、睡眠障害・ナルコレプシーの原因となるオレキシンを発見した。

睡眠を疎かにするとアルツハイマー型認知症などのリスクが高まる

「睡眠に関心をもつものの、巷にあふれる睡眠メソッドを勘違いして捉え、かえって眠れなくなっている人が多くいます」

と指摘する、筑波大学医学医療系教授の櫻井武さん。何とかよい睡眠をというプレッシャーや不安は、逆に脳を覚醒させてしまうといいます。

「日中起きている間は、絶え間なく脳が働いています。知的活動だけでなく、体を動かすことも脳の働きによるもの。その脳を無意識の状態にして休ませ、整えるのが睡眠の役割です。睡眠は生きていくために欠かせないもの。睡眠の量(=時間)が不足するなど疎かにしていると、短時間睡眠者に発症率が高いといわれるアルツハイマー型認知症の他、免疫機能や精神機能などにさまざまな弊害が出てくるのです。

一方で、誤解しがちですが、ちゃんと眠れている人が、さらに長く眠ったからといってメリットが増えるわけではありません。『よい睡眠をとらなくてはいけない』と考えすぎないようにしましょう。

睡眠を左右するのは、感情と体内時計、物理的環境です。まずはこの3つを整え、十分な睡眠時間をとることがよい睡眠につながります」

電車での居眠り、週末の朝寝坊…これらをしている人は睡眠が不足している

では、よい睡眠をとれていない人はどのくらいいるのでしょう。

「日本では、行動誘発性睡眠不足症候群といって、常に睡眠不足で暮らしている人が約8割といわれています。毎日睡眠不足だから、調子が悪いのが普通になっているんです。よい睡眠がとれればパフォーマンスは上がるのに、気づいていない人が多いですね。

5時間睡眠で大丈夫と言う人もいますが、本当はそういう人も睡眠は足りていないことが多いんです。眠っているときは意識がないので、自分の睡眠はどうという主観的な感覚はあまり当てになりません」

睡眠が足りているかはどうすればわかりますか。

「日中、眠気があるかないかがいちばんの指標です。食欲にたとえれば、十分に食べると満腹になるように、十分に眠れば睡眠欲は満たされます。そして昼間の覚醒の質が違ってきます。眠気を引き起こす『睡眠圧』が取り去れていれば、居眠りなどせず、ちゃんと活動できるのです。電車に乗ると眠ってしまう人や週末に1~2時間長く寝ている人、長期休暇に寝だめをしている人は、睡眠圧が取り去れていない、つまり睡眠不足です。まずは、日中に眠くならないか=必要睡眠時間がとれているか、を見直しましょう」

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