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【認知症介護19年の体験談】つらいときの乗り越え方は? 息抜き法と支えのヒント

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ゆうゆう編集部

一口の甘いものと友人とのおしゃべりが癒やしに(まりもさん 75歳/北海道)

夫は若くして緑内障を患い、結婚1年目で片方の目が見えなくなりました。それでも仕事を続けていましたが、定年を迎えた60歳頃から、「電話で誰としゃべってたか忘れる」と言いだし、病院で軽度の認知症と診断されました。ですが、「先生がおかしい、俺は認知症じゃない!」と言うばかり。さらに先生からは、「目からの刺激がないので、認知症の進行が速くなるかも」と言われたんです。

何とか進行を遅らせようと、洋服は自分で脱ぎ着させるなど、夫にはできるだけ自分のことをさせようとしました。月曜は買い物、火曜は音楽を聴く、水曜はなぞなぞ&クイズ……と曜日ごとに、できるだけ脳に刺激を与える工夫をしました。

両目が見えなくなると、朝の散歩や脳トレのなぞなぞも嫌がるようになり、病気も進行。徘徊が始まり、ついには大便を手に取って投げたり、食器に入れたりも。便や尿が漏れても汚れないパンツや、下着に手を入れられないつなぎのパジャマを作りました。困ったのはおむつ替えです。夫を支えるのはすごく重くて大変でした。何より、夫が壊れていく様子を見るのが本当につらかったです。

夫が寝た後、3時間おきに寝返りを打たせるのですが、その間の短い時間が唯一の自分の時間。好きな歌を聴いたり、糖尿病ですが疲れがピークになったときは甘いものを一口だけ食べたりしました。友人とのおしゃべりなどを気晴らしに、19年の介護をまっとうできました。

最初はためらった施設利用も介護には必要だと思いました(ムラカワさん 69歳/栃木県)

母が冬、自宅の外で倒れました。何とか一命は取り留めましたが、せん妄(もう)状態に。当時は私もフルタイムで仕事をしていたので、休暇などを使い自宅で介護しました。一番つらかったのは十分な睡眠が取れないこと。時間に関係なく「トイレ」「家に帰りたい」と騒ぐので、途方に暮れましたね。ケアマネさんが手続きをしてくださり、デイサービスやショートステイを利用することで負担を軽減できました。最初は施設利用をためらいましたが、精神面で限界を感じていたので、利用するのも介護を続けるために必要だったと思います。

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※この記事は「ゆうゆう」2025年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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