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12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】

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吉原美奈子

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】

大輪カップ咲きのイングリッシュローズ。株バラとしても育てられますが、低めのフェンスなどに少し這わせると優雅さが際立ちます。(筆者撮影)

関東以西の温暖地でも、12月に入ると咲き残った秋バラは次第に勢いを失い、バラの季節の終わりを迎えます。この時期のバラのお手入れ法と、新しくバラを植える前に知っておきたい品種選びの基本をお伝えします。

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】(画像2)

半剣弁高芯咲きのハイブリッドティーローズが開こうとしています。中心にピンクをにじませ、花弁にはしみ一つなく見事です。

12月初旬のバラのお手入れ

四季咲き性が強く、強健なバラであれば12月に入っても花を咲かせるものもあるでしょう。しかし、これも温暖地のバラに限られ、ほとんどの地方では気温の低下につれてバラは休眠期に入っていきます。

まだ花を咲かせている地植えのバラには、乾燥が続けば1週間か10日に1回水を与えますが、肥料は必要ありません。

つぼみがついていて、どうしても最後の花を咲かせたい場合は、夕方から朝まで袋をかぶせて低温から守り、開花を促すやり方もありますが、そのままつぼみが開かないことも多いでしょう。

花がすっかり終わったら、1~2月の冬の剪定の前に軽く姿を整えておく仮剪定をします。

葉はむしらずにそのままにしておきますが、伸びすぎた先を刈り込み、の形を整えるだけで庭がすっきりと見えます。

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】(画像3)

単色以外に絞り(斑入り、ストライプ)と呼ばれる複色のバラも。斑の入り方もそれぞれ個性的で、コレクション魂が揺さぶられます。

冬の元肥を入れるのにも少し早いので、この時期の作業は多くはありませんが、移植(植え場所の移動)を考えている方は今がチャンスです。

を掘り上げる前に、移したい場所になるべく大きな穴を掘っておきます。

幅、深さとも50㎝以上が理想ですが、これはなかなか大変なことで、40㎝ほどなら問題ないでしょう。

休眠期なので、掘り上げるは扱いやすいようにを短く切っても大丈夫。

根の部分は大きく掘り上げ、なるべく根を切らずに残します。根の周囲についている土をざっと落として新しい穴に入れますが、その際は掘り上げた土ではなく、市販の新しい培養土を使って埋め戻すのがよいでしょう。

移植後は温かい日中にバケツ1杯以上の水を一度たっぷり与え、その後は自然の降雨にまかせます。

乾燥があまりに続いて心配な場合は、2週間に1回ほど水を与えてもいいのですが、休眠期なので与えすぎないのが基本です。

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】(画像4)

枝が長く伸びるランブラーローズは広い面積を覆いたい時、隠したい壁面などに這わせると効果を発揮します。多くは一季咲きです。

品種決めは、まず樹形を押さえて

12月はバラを新しく植えるのに最適な季節です。今までバラ園やカタログ、インターネットサイトなどで見て心惹かれるバラがあれば、早めに苗を入手して12~1月に植え付けます。

その際、バラの花の美しさばかりに目を奪われて購入してしまうと後々、後悔することも出てきます。

自分の庭や植え場所のスペースを考え、そこに合うサイズのバラを選ぶことが大切です。つるバラ(クライミング、クライマー)なのか、バラ(株立ち、ブッシュ)なのかは最低限確認しておきます。

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】(画像5)

日本では見かけない‘クリストール’というバラ。花枝と花首が細く、株は直立し、繊細さとキリリとした印象を併せ持っています。

つるバラはアーチやフェンス、広い壁面などの支えが必要です。どのようにを這わせるかをイメージしてから購入しましょう。

長く人気が続いている半つる性(シュラブ)のバラは、を切らずに伸ばせばつるバラとして使えますし、短く切ればボリュームのあるバラのようになります。

同時に樹高の幅もチェックしておきます。

が直上する直立性は狭い場所でもスリムに収まり、が横に伸びる横張り、半横張り性はが茂って宿根草などの草花との調和も取りやすいものです。

12月のバラ作業:初心者でもできる簡単お手入れ法と見逃せない品種選びのコツ【ガーデニング】(画像6)

丸弁高芯咲きのハイブリッドティーローズ。高く巻いた芯が日ごとにほぐれていく様子を観察できるのは、バラ育ての贅沢なご褒美。

四季咲き性とは、特定の開花期をもたず、条件が整えば一年に複数回花を咲かせる性質を指します。​バラやベゴニアなどにこの性質をもつ品種があり、長期間花を楽しむことができます。

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一重咲きとは、花びらが1列だけ並んでいるシンプルな形状の花を指します。このタイプの花はナチュラルな雰囲気や素朴な美しさが魅力で、ガーデニング初心者にも人気があります。一重咲きの典型例として、ヒマワリやコスモスなどがあります。この構造は花の中心部が目立ちやすく、虫を引き寄せやすいため、庭の受粉環境を向上させる役割も持っています。

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ロゼットとは、地面に葉が放射状に広がるように生える植物の葉の形を指します。タンポポが代表的な姿です。

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シュラブとは、ガーデニングでよく用いられる低木の総称です。生長が安定し、剪定によって形を整えやすいことから、庭や花壇の基盤となる植栽として重宝されています。バラの一種のシュラブローズも有名で、初心者から上級者まで幅広く愛されています。また、季節ごとの景観を楽しめる落葉樹や常緑樹があり、生育環境やデザインに応じて選べるのも魅力的です。

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温暖地とは、年間を通して気温が比較的高く、冬期の降雪が少ない地域を指します。日本では西日本や太平洋側の地域が該当し、植栽スケジュールや作つけ品種の選定において、冷涼地や中間地とは異なる育成条件や病害虫対策が必要となります。

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株立ちとは、一本の太い幹ではなく、根元から複数の幹が立ち上がる樹形を指します。自然な風合いが魅力で、雑木風の庭づくりに向いており、庭木としても人気です。代表的な植物にはアオダモやシマトネリコなどがあります。

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宿根草とは、一度植えると毎年花を咲かせる植物のことです。冬に地上部が枯れても地下部が生き続け、翌年再び芽を出す植物を指すことが多いです。​

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培養土とは、植物を育てるために使う土のことです。数種類の土がブレンドされた市販の培養土は、通気性、保水性、排水性、養分のバランスがよく、初心者でも失敗なく植物を育てられます。植物の種類(花、野菜、多肉植物など)ごとに専用の培養土も市販されています。

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地植えとは、植物を鉢やプランターではなく庭の地面に直接植える方法のことで、根が土中に自由に広がるため株が大きく育ちやすく、水やりや肥料の持ちもよくなるといったメリットがあります。例えばバラや宿根草、樹木類などを長期間育てたい場合に適していて、植えつけの際には土壌の排水性や日当たり、風通しなどを考慮して場所を選ぶことが大切です。

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開花とは、植物がつぼみから花を咲かせる現象を指し、植物のライフサイクルの中で繁殖を目的とした重要な段階です。開花には品種ごとの遺伝的要因に加え、温度・日照・水分・肥料などの栽培環境が大きく関係しています。開花の時期や条件を正しく理解することは、ガーデニングにおいて花を美しく咲かせるための基礎知識の一つとなります。

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花形とは、ガーデニングにおいて花の形状や咲き方を指します。漏斗形、鐘形、バラ形など多彩なタイプがあり、花壇や鉢植えのデザインで個性や全体の雰囲気を引き立てます。特に寄せ植えや庭づくりでは、異なる花形を組み合わせることで立体感や動きを演出できます。例えば、パンジーの平らな花形とチューリップの漏斗形を組み合わせることで、視覚的にバランスの取れた華やかな空間が生まれます。花形の組み合わせ方の工夫次第で、ガーデニングの幅は無限に広がります。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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肥料とは、植物が健やかに生長するために欠かせない栄養素を補給する材料のことです。おもにチッ素、リン酸、カリウムを三大要素とし、それぞれ葉の生長、花や実の形成、根の発達を助けます。有機質肥料と無機質肥料に分類され、有機質肥料は堆肥や骨粉など自然由来で、土壌改良にも効果的。一方、無機質肥料は成分が均一で即効性が魅力です。ガーデニングでは植物の種類や生長段階を考慮し、適切な肥料選びと施肥のタイミングが大切です。

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移植とは、植物を一度育てた場所から別の場所へ植え替える作業のことです。苗を育苗箱から花壇や鉢に移す場面や、庭の植物をより日当たりのよい場所に移すなど、目的に応じて行われます。移植の際には根を傷つけないよう丁寧に扱い、水をたっぷり与えます。適期を守ることで根づきやすくなります。

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樹高とは、地面から樹木の最も高い部分までの高さを指す言葉で、庭木やシンボルツリーを選ぶ際の重要な目安となります。植物の種類や品種によって最終的な樹高には大きな差があり、適切な樹高を見極めて植栽することで、住宅や周囲の景観と調和したガーデニングが実現できます。また、生長のスピードや剪定のしやすさにも関わるため、メンテナンスの観点からも考慮すべきポイントです。

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樹形とは、樹木の全体的な形や姿のことで、自然に育ったままのものから、人の手によって整えられたものまで、さまざまなスタイルがあります。たとえば「立ち性」「横張り性」「ほうき状」などがあり、ガーデニングでは庭のデザインやスペースに合わせて選ぶことが多いです。また、剪定によって希望の樹形をつくることも可能で、生け垣やシンボルツリーなどにおいて重要な要素となります。理想的な樹形を保つためには、生長の段階に応じた手入れや剪定が欠かせません。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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剪定とは、植物の不要な枝を切り取る作業のことです。形を整えたり、風通しをよくしたり、枝分かれを促したりする目的で行われます。剪定を行う目的に合った正しい時期に行うことが大事です。

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元肥とは、植物を植える前や植えつけ時に、あらかじめ土に混ぜ込んでおく肥料のことです。追肥とあわせて行うと元気に育ちます。

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休眠とは、植物が生長を一時的に停止して、寒さや乾燥などの不利な環境から身を守る生理状態のことを指します。球根や落葉樹などでは、冬の寒さに備えて活動を停止し、気温が上がると再び芽吹きます。休眠中の植物は水や肥料をそれほど必要としないため、過湿や過剰施肥を避けて管理することが大切です。休眠の有無や期間を知ることは、植え替えや剪定の適期を見極めるうえでも重要です。

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株とは、地面から芽を出して生長している植物の基本単位を意味し、特に多年草や野菜苗などでよく用いられます。例えば「このラベンダーは大株に育った」といったように、株の大きさや状態は植物の生育具合を示す指標にもなります。ガーデニングでは株分けや株の更新、株元の管理など、長期的な育成を考えるうえで頻出する概念です。

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枝とは、植物の幹や主軸から分かれて伸びる部分で、葉や花、果実をつける役割があります。枝の生え方や配置によって光の取り込み方や風通し、樹形が左右されるため、剪定や誘引を通じて理想的な姿に整えることがガーデニングでは大切になります。

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