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【ばけばけ】伏線回収!打ち捨てられた花束をトキ(髙石あかり)は見つけていのだと視聴者が知った瞬間、友情も復活!

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田幸和歌子

ほのかな恋心に蓋をして、自分の足で立とうと

実際、庄田は一度は断った英語教師を引き受けたこと、錦織とも話し合いをしてきたことを真っ先にサワに報告したかったと言い、「ワシと夫婦になろう。惚れてるんだ、おサワさんに」とプロポーズする。しかし、サワはそれを断ってしまう。それをトキに報告するうち、込み上げる涙が堪え切れず溢れかえってしまう。

「おトキのせいだわ。私はおトキにはなれん。おトキと同じ道は歩めん。シンデレラにはなれんけん……おトキはシンデレラなんだけん」

シンデレラとシンデレラになれなかった者。世に生きる人々の人生は、努力が報われることもあるし、それが大切であることは変わりないのだが、運をつかめるかどうかに左右されることも極めて多い。「何も起こらない物語」とはそういうある種のリアリティを突きつけてくる物語でもある。

サワが借金を返せることも含めて、同じような立場の庄田が差し伸べた手を掴めなかったこと、それは運に頼らず(大きな運が舞い込むこともなかったわけだが)ずっと自分の力で、(ほぼ一人だけ)真面目に勉強し努力してきたサワは、自分自身がそこまで歩んできた誇りによってほのかな恋心にも蓋をして、自分の足で立とうとした。そこになんとも複雑な人間の心理が突きつけられた思いだ。

サワがずっと抱えてきた本音を突きつけることで、「ようわからんけどごめん」と、鈍感さを見せながらも、ようやくトキとサワの溝はある程度埋まったのかもしれない。

【ばけばけ】伏線回収!打ち捨てられた花束をトキ(髙石あかり)は見つけていのだと視聴者が知った瞬間、友情も復活!(画像6)

「ばけばけ」第83回より(C)NHK

【ばけばけ】伏線回収!打ち捨てられた花束をトキ(髙石あかり)は見つけていのだと視聴者が知った瞬間、友情も復活!(画像7)

「ばけばけ」第85回より(C)NHK

そして、「ついでにもう一つごめん」とトキが差し出したもの、それは野花の束であった。トキとサワの溝が決定的なものとなった場面、結婚したトキを訪れた際に玄関先に飾られた立派な花を見て、持参した小さな花束をサッと投げ捨てた場面を誰もが思い出しただろう。この打ち捨てられた花束をトキが見つけて察することはないのかと思っていたが、こういう形で回収され、ふたりの友情が再び回復したことを知ることができた。

しばらく続いたトキのシンデレラ生活との溝も埋まったことで、物語は新たなターンへと突入するだろうか。「何も起こらない」中で起きる人間模様とそれぞれの人生はいよいよ残り3分の1となったところでどう展開していくのか。そして、「何も起こらない」とはいいつつも、ヘブン(=八雲)が残した大きな足跡『怪談』は、どの段階で登場してくるのか。2月以降の展開に期待したい。

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