「笠井はいつまでがんで食っているのか」と言う人も…それでも僕が“がんの情報発信”を続ける理由【笠井信輔さんのターニングポイント#4】
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藤岡眞澄
86歳の母のお目当ては映画『国宝』
——笠井さんがフリーになって2年後の2021年、妻の茅原ますみさんもテレビ東京を退職してフリーになられましたね。
50代を過ぎると“終活”とか“断捨離”とか、人生の終わりに向かって整理しよう、片づけようと考え始める、というのが最近の流行りですよね。
でも、妻を見ていると、年齢を重ねるごとに積極的に外に向けて活動して、人とのつながりを持とうとしている。それによって、エネルギーを得ているという感じがあります。
出かけて、いろんな人と話をして、交流を持ってというのが、いまの彼女の生きがいになっているんです。
男と違って、女性というのは年齢を重ねていくごとに交流の場を広げられるんだなと、妻だけでなく、母を見ていてもそう思います。
ただ、理想を言えば、モノは減らして、人とのつながりは増やす、ということですかね。
——笠井さんのお母さまも活動的で、お元気なんですね。
いま86歳なんですけれど、地域の人たちと積極的に交流しているんです。
ついこの間も、僕が司会を務めた「第99回キネマ旬報ベスト・テン」の授賞式に、地元の友だち9人を引き連れて来たんです。
皆さんのお目当ては映画『国宝』。ステージに上がる主演男優賞の吉沢亮と日本映画監督賞の李相日監督が見たいから、って入場待ちの列に並んで見てました。
——86歳でイケメンの推し活とは、チャーミングですね。
しかも、うちの母はオンラインを使いこなす“デジタルばあちゃん”でもあるんです。
5年前のコロナ騒動のころ、僕が母の家に行くと、家の中で化粧をしているんですよ。「なんで化粧?」と聞いたら、「今日はオンライン同窓会なのよ」と言うわけです。
それまで年に1回、早稲田の同窓会をやっていたけれど、コロナで会えなくなって、オンラインで集まろうとなって、うちの息子があれこれ教えたらしいんです。最初は3人で始めたのに、いつの間にか人数が15人に増えていて、驚きました。
——80代になっても、デジタルを勉強しようというと思うのは、やはり人とつながる楽しさがあるからなんでしょうね。
ところが、人数が増えると、みんなが勝手にしゃべり出して収拾がつかなくなる。会合を仕切る司会者が必要なんです。
その司会を母がやっているのを見て、あまりの上手さに驚きました。「はい、あなた」「ちょっと待って」「次はあなた」って見事に仕切っている。
その様子を見て、さすがアナウンサーの母だな、僕を育てた母だな、って思いましたよ(笑)。
——何だかお母さまとおしゃべりしてみたくなりました。
笠井信輔さん Profile
かさいしんすけ●フリーアナウンサー
1963年、東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、アナウンサーとしてフジテレビに入社。「とくダネ!」など、おもに情報番組で活躍。2019年10月、フリーアナウンサーに転身。直後、ステージ4の悪性リンパ腫に罹患していることが発覚。12月より入院。ブログで闘病の様子を綴った。2020年6月に完全寛解し、その後仕事に復帰。著書に『僕はしゃべるためにここ(被災地)へ来た』(産経新聞出版)(新潮文庫)、『生きる力~引き算の縁と足し算の縁~』(KADOKAWA)など。
笠井信輔さんのターニングポイント④
僕は40代くらいまで、なんでこんなに幸せな人生なんだろうと思っていたんです。人生はアップダウンしながら進んでいく。調子がいいと、どこかに落とし穴がある。でも、その穴に落ちたとき、挫けちゃいけないんだ——と。
撮影/橋本哲
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