「どうする家康」信長に不満を募らせる家康の大葛藤。姉川の合戦では、家康はやる気満々だったという説も⁉︎
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鷹橋 忍
徳川家康というと、どういうイメージをもっていますか? 2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、どんな家康が描かれるのでしょうか。戦国武将や城、水軍などに詳しい作家 鷹橋 忍さんに、知られざる徳川家康の姿や時代背景などについてひも解いていただきましょう。
大河ドラマ『どうする家康』第15回「姉川でどうする!」では、家康の浜松城(静岡県浜松市)への転居と、「姉川の戦い」が描かれました。
今回は、この二つを取り上げたいと思います。
まずは、姉川の戦いからみていきましょう。
姉川の戦い
大貫勇輔さんが演じる浅井長政の離反を知り、越前国から退却した岡田准一さんが演じる織田信長は、元亀元年(1570)4月30日に無事に京都にたどり着き、5月に拠点を置く岐阜城に戻りました。
同年6月、態勢を立て直した信長は、浅井氏を攻めるために、北近江へ出陣します。
家康も、3000名とも5000名ともいわれる軍勢を率いて、参戦しました。
そして、6月28日、姉川の河畔で、織田・徳川連合軍は、浅井軍と浅井氏の援軍である越前朝倉氏の軍勢と激突しました。
世にいう「姉川の戦い」です。
ドラマでは信長に不満を募らせていた家康ですが、家康・秀忠・家光の徳川三代に仕えた大久保彦左衛門忠教が子孫へ書き残した『三河物語』には、やる気満々の家康の姿が描かれています。
『三河物語』の家康は、やる気満々
ドラマでは、信長が家康に先陣を命じていますが、『三河物語』では、姉川の戦いの前日、信長は使いの者を送り、家康に「二番隊を頼む」と伝えています。
家康はこれに対し、「加勢するからには、ぜひ、一番隊を命じて頂きたい」と返しています。
信長はすでに、一番隊は吉原光夫さんが演じる柴田勝家や、酒向芳さんが演じる明智光秀らに命じていました。
ですので、信長は「部隊の編成はもう決まっている。それに戦況によっては二番隊が一番隊になる場合も多いので、一番隊も二番隊も同じだと思う。今回は二番隊を引き受けて欲しい」と頼みました。
しかし、家康は「一番隊も二番隊も一緒というのは納得できません。書物には一番隊は一番隊、二番隊は二番隊と書かれて残るでしょう。後々まで、二番隊だったといわれるのは嫌です」と主張し、「一番隊を命じてくれないのでしたら、明日の合戦には加わらず、今日帰ります」と返事をしたのです。
信長も「そこまで思ってくれるなら」と家康を一番隊にし、合戦では家康の軍勢が大活躍をしたことが記されています。
浅井・朝倉と信長の戦いは続く
『三河物語』の真偽はともかく、姉川の戦いは、織田・徳川連合軍が勝利しました。
ですが、浅井氏、朝倉氏に決定的なダメージを与えられず、この後も、信長と浅井氏・朝倉氏との戦いは続きます。
次は、浜松城をみてみましょう。