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【らんまん】来し方ではなく「今」を好きになれるか。万太郎(神木隆之介)の言葉は、私たちの心をふと軽くする

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田幸和歌子

万太郎との共同研究について田邊は反対するが、徳永はこの研究に関われなければ植物学教室は何の実績も残せないと指摘し、万太郎らを援護する。

そこから連日連夜、研究に励む万太郎と大窪。そしてついに新種と証明できた植物に、万太郎は「ヤマトグサ」と名付け、大窪と論文を書き上げ、植物学雑誌に掲載。これは、日本で植物学が始まって以来の快挙だとなる。

同時に、万太郎が雑誌と並行して作ってきた土佐の植物図譜も完成。その一方で、イギリス留学中の伊藤孝光(落合モトキ)が留学先からトガクシソウを新種として発表。これにより、田邊のトガクシソウの発表は絶望的状況になる。

史実をなぞるだけなら、また、長田育恵脚本×神木隆之介主演でなければ、心が折れて脱落してしまう視聴者が出かねない万太郎の危機に、悲壮感はない。それどころか万太郎の周りには常に笑顔があり、一つ一つ新たな武器や味方を得て、小さな積み重ねが時を結実するというワクワク感×万太郎自身は変わっていないという二重の凄さ。

そして、ラストでは寿恵子の懐妊の気配が描かれる。思えば週序盤で一緒に朝食として「たぬき(こんにゃく)汁」をとりつつ、「タヌキとキツネ(お揚げ)どっちが好きか」などという「どうでもいい話」をしていた万太郎と寿恵子。

しかし、寿恵子が万太郎の身体のために高額な印刷機を買うという「冒険」をし、少しでも家にいられる時間を作ったことにより、「どうでもいい話」をする時間が確保された。その結果の懐妊……。

妊娠云々はともかく、日常の中で「どうでもいい話」をする時間や心のゆとりがいかに心身の健康に大切かを感じる週の結びだった。

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