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【ひとり暮らしのお宅拝見】小さな生活道具店ecru店主・桐野恵美さん「望んでいた自由を得た分、ひとりで生きていく覚悟は必要だと思っています」

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ゆうゆう編集部

この家のキッチンが食の気づきを生む場になれたら

モノの見直しはキッチンも同様。その結果、少数精鋭のアイテムだけが残り、誰にでも使いやすいキッチンになったそう。

「わが家は人が集まることが多いので、手伝ってもらえたらラクだなぁと(笑)。よく使うものはぶら下げて置くなど、どこに何があるかひと目でわかるようにしているので、『お願いね!』と声がけするとみんなが手伝ってくれるんですよ」

桐野さんの家に人が集う理由は、お店の他にもう一つ。交流の場としての顔があるからだ。

「縁があって出会った人たちとタイミングが合い、一緒にワークショップを開いています。今はヨガや石けん作りなど、定期的に3つの会を開催中です」

ワークショップでは、毎回桐野さんの作る料理が提供される。豊かな風味のだしで煮た季節の野菜や、ひと手間加えた焼き物など、メニューは菜食が中心。毎回、何を作ろうかと考える時間も楽しいと、桐野さんは笑う。

「食べ物は心と体に直結するものだから、もともと食には気を使っていて。ここでお出しする料理は、食材や調味料もすべて自分が納得して選んだものを使っています。私が作るご飯が、皆さんの中にちょっとした気づきを生むヒントになったらと思うんです。『発酵食品を食べると、何だかおなかの調子がいいかも』『丁寧に作られた調味料っておいしいな』。この家のキッチンが、そんな食に対する気づきの場になれたらうれしいですね」

母の愛用していたアルミ鍋や包丁など、思い出の品も数多い台所は、「一番落ち着く場所」だと言う。

食器棚は父親が長く使っていたもの。

現在は、自身が主宰する料理教室も活発に開催。食を通じたつながりが、どんどん広がっていることを実感している。

「ワークショップでコラボをしているのは30~40代。彼女たちからはいろいろなことを教えてもらっていますし、私からも何かしら提供できているんじゃないかと。お互い認め合い、助け合う今の関係がとても心地いいですね。逆に今は、同年代の友人と会う機会がないのですが、それはタイミングが合わないだけで、きっとまた会える日がくるはず。そのときの自分が、心地いいと感じる人とつき合っていくことが大切なのかなと思っています」

自ら動き、手に入れた今の暮らし。満足しているかと尋ねると、「もちろん!」と明るい声が返ってきた。

「お金の余裕はありませんが(笑)、自分を信じて進めたことは本当によかったと思っています。もちろん、孤独や不安を感じる日もありますが、それも含めての自由だと腹をくくっているつもり。金銭的、精神的、肉体的に自分で責任を取れる人でありたい。そのためにもまずは健康第一。人とのつながりと、心と体の健康を大切に暮らしていきたいです」

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